「Have a Great Day!」フリー・ガイ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Have a Great Day!
去年公開される予定だった本作、コロ助の影響をモロに受けて、一年越しの公開!前日から高揚していて、眠れませんでした。
率直に言うと超面白かったです!ゲームという舞台を題材にした作品の中では過去1に楽しかったです。
ライアン・レイノルズ演じるガイは銀行員というゲームでは真っ先に襲われそうな現場にいる彼ですが、そんなこと気にせずに明るく楽しく楽観的に生活しています。ゲームとしては普通の人が普通に生活をしているだけなのですが、現実世界のていで見ているのもあって、ガイ含めモブのキャラたちが全員異常に見えてくるのが不思議でした。テンション高めなのもあって序盤から面白さを連射してきてくれました。
普段通りの日々にグラサン族(プレイヤー)の女性、モロトフ・ガールと出会います。普段自分たちがしているゲームならちょっとした声かけくらいはNPCがしてきますが、一目惚れして後を追いかけてくるNPCなんて前代未聞です。で、追ってる最中に電車に轢かれて消滅…
というわけではなくコンティニューし、いつも通りの朝を迎えます。作中でもプレイヤーが言っていましたが、モブキャラのことは基本的に何も考えず、殴ったり轢いたりなどをしていました。もうそういうものだと勝手に頭に刷り込まれていて、それが楽しいと思っていたのも事実です。ただ、ガイは意思を持っているのでプレイヤーを返り討ちにするという面白展開が待ち受けています。NPCが意思を持ったら…をうまいこと描いているなと思いました。サングラスを身につけた世界に驚くガイがかわいいです。
レベル上げをするなら大抵のプレイヤーやゲームは何かを倒すなどしてレベル上げをしますが、ガイは良いことをしてレベルを上げるという超善人振りを見せます。しかも嫌味なんてなく、心の底から良いことをして、モロトフ・ガールを振り向かせようとする真摯な姿勢に心打たれます。
なんやかんやでレベル100の大台を突破したガイですが、ここで現実サイドの物語も大きく動きます。タイカ・ワイティティ演じるアントワンがガイの奇想天外な動きに着目し、フリーシティ2の作品内にガイ強化版を投入しようとします。続編を別物に仕上げようとする感じはなんだか続編ばかり出していたディズニー社へのある種のメタ的な描き方だなと思いました。
ガイが生きている世界は虚構の世界だとモロトフ・ガールから教えられた際には、絶望に明け暮れたガイがおり、それと同時にフリーシティのデータごとオフラインにしてしまいます。この時にガイはすでに人気者、日本でも真似をする人が出るほどの大人気ぷりです。これらを無視して、強制的アップデートを図るアントワンの様子はソシャゲの無駄なアップデートにも重なるなと思ってしまいました。
しかし、ジョー・キーリー演じるキーズが元のデータを残していたので、フリーシティのデータ自体は残っていましたが、ガイが奮戦した記憶はどこかへいってしまいました。それでも諦めずに記憶の復活を求めたモロトフ・ガールの行動がキーとなり、ガイの記憶は元通りになります。そこでガイは演説を行い、自由を説きます。差別からの解放という現代でも重要なテーマを重くならずに、普段ガイが行なっているような喋りで人々を鼓舞します。
ここからが最終決戦、虚構VS現実の戦いが始まります。ガイとモロトフ・ガールは海の向こう側(ゲームの新たなステージ)へと向かい車を走らせます。その最中に起動した街の建物が迫り来るアクションが起きますが、キーズも対抗し、空へと繋がる道を作り上げます。そこまで長くないシーンでしたが、ひたすらに目に焼き付くようなカーアクション、崩壊シーンでした。
その先に進むと、海の向こう側へと続く橋ができていましたが、ゲームをリセットし、プレイヤーは消されてしまいます。幸い、ガイはゲームの住人のために消されるずに、バディとも再開します。しかしここで張られていた伏線、フリーシティ2での実装予定のガイ強化版「DUDE」が立ちはだかります。誰かと思ったらまさかのムキムキレイノルズなので思わず笑ってしまいました。しかし圧倒的パワーで、ガイとバディをボコボコにしていきますが、ガイがサングラスを装着し、まさかのキャップの盾、ハルクの腕、ライトセーバーと、20世紀スタジオがディズニーに買収されたからこそできた荒技にはもう感服してしまいました。デッドプールの前日譚じゃないか?と思ってしまうくらいにやりたい放題っぷりです。そこから再び苦戦しますが、DUDEにサングラスをかけたら、DUDEもフリーシティの中身を知り、キラキラしたものに興奮してどこかへ行ってしまいます。ムキムキがステップする姿がとても愛おしかったです。
そこから2人で橋の向こうまで行こうとしますが、バディとは道半ばで別れてしまいます。それでもガイは全力で橋の向こうまで駆け抜け、新たな世界へと行くことに成功しました。
現実でも、アントワンの暴走をモロトフ・ガール/エミーが阻止し、フリーシティのモブという要素を戻し、フリーシティ2以降の続編の権利をアントワンに引き渡す形でひとつの訴訟は終わります。
それから、フリーライフというモブキャラを眺めるという発想の転換で新たなゲームを開発し、ガイもそこの住人になっていました。アントワンは自滅しました笑
ガイというキャラクターはキーズが伝えたかったメッセージというものであり、キーズの気持ちに気づいたエミーがキーズの元へと走り、ハッピーエンドを迎えます。時を同じくして、ガイはDUDEと街を歩き、バディを失ったことに悲観していましたが(その横でプログラムを設計されてないDUDEが叫びまくってるのも面白い)、バディも無事にフリーライフの世界へやってきており、こちらも再開し、ハッピーエンドを迎えました。
115分という時間に濃密に詰め込まれた生き方の自由さを説いてくれた作品でした。それだけでなく、視覚的な楽しさも素晴らしく、とても楽しい作品でした。フリーガイに幸あれ!
鑑賞日 8/13
鑑賞時間 10:45〜12:50
座席 J-9