スウィング・キッズのレビュー・感想・評価
全20件を表示
踊り狂って、やがて哀しき
2018年(韓国)
ドラマティックな悲劇の後に流れるセピア色のエンドロール。
D.O.もジャクソンもスウィング・キッズのメンバーも。
みんな幸せそう・・・
韓国人にとって朝鮮戦争の悲劇は今もなお、
現在進行形なのか?
1951年。巨済島捕虜収容所の新任所長(これがアメリカ人の将校・・・
ここで韓国人でない私も、むかっとする・・・日本人をしつこくバッシングする
韓国人・・・実は長くアメリカ人に好き勝手にされてたのではないか?)
(怒る相手がいつも違うだろう?と、思う)
それはさておき、所長は収容所のイメージアップのために戦争捕虜によるダンスチーム結成を計画する。
ブロードウェイのタップダンサーだった黒人士官ジャクソンをリーダーに、
女一人に男四人のチーム名は「スウィング・キッズ」
ジャクソンとギス(D.O)のダンス合戦が目を見張る。
凄すぎるよ、おふたりさん。
ビックバンドがビートルズナンバーを演奏して、なかなか楽しく盛り上がる前半。
後半のそしてラストが悲しすぎる。
宴の後にしても酷すぎる。
アメリカ人よ!
タップダンサーの脚を撃ったりしますかね!!
映画だけど、怒った!!怒り狂ったよ!!
韓国人が捻くれてるのも、多少は理解できた映画でした。
戦争に翻弄された。
朝鮮戦争下の捕虜収容施設内の話
アメリカ軍の所長は、話題作りで、元タップダンサーの
黒人兵士と捕虜でダンスチームを作らせようとする。
なにかと問題あるロギス、中国の曲芸師、別れた奥さんを探す民間人。4か国語を話すヤン。なかなかユニークなチームだ。しかし、いろんな思惑に翻弄される。
ヤンを演じたパクヘスが、小柄で可愛らしい。
なんか、ハッピーエンドにならない現実が苦しいね。
最近映画観てもレビューサボってたのですが久しぶりに投稿します。 音...
最近映画観てもレビューサボってたのですが久しぶりに投稿します。
音楽とダンスに魅了され心を繋げていく人たちの輝きと
対比して
戦争の重くどこまでも残酷な様が苦しい
ギスがアメリカに反発しながらも音楽とダンスに心を奪われる演出がとても良かった
難点をあげるなら
ダンスにcgぽさがあるところ。特にギスのコサックダンス
ラストに向けて通訳が必要なとこなど曖昧になってるとこかな
ダンスという武器
国も人種も思想も違えど何か人間が繋がる方法はある!
音楽とタップダンスに高揚感を覚え思わず手拍子もしたくなる・・・しかし残酷な現実。どういう終わり方をするのだろうと後半想像しなからみていたが・・
さすが韓国映画単純には終わらせないのだ。
言語も出身も違う5人がタップダンスで会話し絆を深めていく、そんな温...
言語も出身も違う5人がタップダンスで会話し絆を深めていく、そんな温かみとは反対に、戦争によって夢を追いかけることも大切な人を守ることもできない悲痛さをより強く感じました。
人種や思想の違い、さらに戦争による圧力で自身の人生を左右される主人公たちの抵抗、そんな中でもタップダンスに夢を抱くスウィングキッズのメンバーたちの強い気持ちがとても輝かしく美しいと思いました。
ギスがどんどんタップダンスに魅了されていくシーンはとても胸が躍らされましたし、ビョンサムに褒められた時の表情はとても可愛らしかったです。
演者の皆様のダンスパフォーマンスは常に全力で見ていてワクワクしました。
終盤、ギスの足に銃を乱射するシーンは、命を奪われたときとは違う、才能を奪われる喪失感と絶望感二度と踊ることが不可能なことを死に際に悟るギスの感情をダイレクトに感じ涙がどばどばあふれて止まりませんでした。
ですが、ラストのギスとジャクソンが2人で踊っているシーンには救われました。
さらに、エンディングのあとタップダンスを踊る音が聞こえてきたことで、あの体育館にはギスやスウィングキッズたちがまだ踊っている気がする、そう思えるエンディングにしてくださったことには感謝しかないです。
ギョンスの演技はすごいですね。ギョンスではなくギスとして最初から最後まで見てしまいました。北朝鮮訛りも数か月特訓されただけあってとてもスムーズで素晴らしかったです。
タップ・ダンスとファッキン・イデオロギー
タップ・ダンスの足ってアレどう動いているのでしょうか?メッチャ目を凝らして足元の動き観ていたのですが、さっぱりわかりませんでした。足を打ち鳴らすだけで、アレだけの音出せるって単純にスゴいなっと思います。帰り道は足を無駄に踏み込んだり、持ってた傘を振り回したくなりました(←危険)。
タップ・ダンスを始める前半、目標があって段々と仲間が揃っていくっていう話好きなんですよね~。皆さんそこそこポンコツ。ロ・ギスがアメリカ兵にボコボコにされるかと思いきや、そこから始まるダンス・バトルには思わず笑ってしまいました。で、そこに仲間が駆けつけてきての熱い展開。ダンス・バトルって観てて楽しいですよね‼️「モダン・ラブ」のシーンも秀逸!
でも、やっぱり本作で伝えたい事は後半にあると思います。今となっては韓国と北朝鮮はもう別な国なイメージも強いですが、本作って時代が1951年ならまだまだ朝鮮戦争の真っ只中な頃のお話なんですね。第二次大戦後、朝鮮半島で北はソ連に、南はアメリカに統治されるようになって、同じ民族だったのに分断されて。どちらの国も大国のイデオロギーに支配され、民族同士での血で血を洗う戦争。劇中の「共産主義だろうが、資本主義だろうがどうでもいい。ファッキン・イデオロギー」って台詞は正に心の叫びのように聴こえました。
実際に暮らしている市民にとっては国や政治のイデオロギーなんてけっこうどうでも良かったりするもんなんじゃないでしょうか?私は日本に住んでいるから民主主義が良いと思ってますが、例えばもし社会主義の国に生まれていたら今度はその状況が当たり前になるので社会主義の方が良いと思うかも知れませんし。個人的には主義主張の違いで戦争するのが一番馬鹿らしいと思います。
後半戦もう不幸にしかならないようなラストに向かって行っているのが観てて辛くって。最後のダンスは圧巻・・・からの急転直下⤵️いや、ハッピーエンドはないかなって薄々気が付いていたのですが、まさか皆殺されるとは。あんなん所長の気分1つやん💢でも、戦時中だし、実際にはもっと悲惨な事もあったのかなぁ。
1つの作品の中でタップ・ダンスの楽しさと戦争の重さと色んな感情に揺れる作品でした。フと昔韓国人の友達が「北朝鮮と一緒になるのは難しいけど、それでも同じ民族なのでどうにかしていつか一緒になれるといい」と言っていた言葉を思い出しました。
捕虜収容所で、彼らは懸命に生き、そして踊った。 心を揺さぶられる作品。
予告編を観た時から気になっていた作品。
予備知識無しで鑑賞。
主人公ロ・ギスとダンスチームのリーダー
ジャクソンとの心の交流が涙を誘う。
心を解き放って踊る主人公と少女のシーンが
切なく、涙が溢れました。
捕虜収容所での友人や米兵との壮絶な関わり、
終盤からの抗えない流れに覚悟を決める
主人公の姿が切なく悲しい。
カン・ヒョンチョル監督の作品を観たのは、
初めてでしたが、素晴らしい映画てした。
POPなイメージのポスターですが、
痛烈な反戦メッセージが込められた作品です。
韓国映画ならではの楽しいシーンも有りますが、
色々な思いが交錯し、切ない気持ちになります。
臨場感が体感出来る映画館での鑑賞を
お薦めします。
映画館で、この作品を観る事が出来た事に
感謝しています。
新型コロナ終息の日が、早く訪れますように。
タップシューズの反射に。後悔と自責の念。
韓国らしいコテコテの胸熱モノを期待していましたゆえ、前半戦がちょっと物足りなくて。これがデビッド・ボウイのモダン・ラブでテンション爆上げ。Kwang-gook登場からは「南北ネタになるとマジシリアスになる韓国」でハラハラドキドキ。しかも、まさかのバッドエンド。しかも相当キツいし哀しい。と言うか惨い。
劇中「共和制も民主制もソ連とアメリカが持ち込んだ」的なセリフがあります。そうなんですか?二つの政府も開戦も分断も、全部を他国のせいにしちゃダメでしょうに。イデオロギーなんか無ければ戦争は無い、なんてことは無い。
いずれにしてもファック・イデオロギー。戦争の理由になってしまうイデオロギー、と言うより、理由にしてしまう人達にファッーーク!
モダン・ラブをバックに、止むに止まれぬダンスで水たまりを踏みつけ砂埃を上げ、一心不乱にステップを踏み続けた若い二人は、自動小銃の弾を浴び倒れます。パンネまで犠牲になってしまい呆然。ただ自分が生きたい様に生きようとしただけなのにね。
捕虜収容所で虐げられた者の記録は、同じアメリカ人である黒人が虐げられる側にあり。Freedom Hallでダンスバトルするジャクソンとロ・ギスと、それをのぞき見する三人の姿が涙を誘う。
良かった。とっても。色々と生々しくて。
-----------------------
6/1 追記
トラックの荷台に乗り込むジョンソンの顔に、鏡で反射したかの様な光が射し込んで来ます。ふと見やると、並んだ遺体に掛けられたカバーから、タップシューズを履いた足だけが飛び出しています。タップで反射した朝日が、収容所を去ろうとするジョンソンの顔に纏わり付く。ツアーに連れて行ってくれるんじゃ無かったのか、とでも言っている様に。
戦争記念館となった収容所跡地を訪れたのは、年老いたジョンソン。Freedom Hallのタップ・バトルで負けたのは、ジョンソンでした。記憶を辿るジョンソン。競い合い様に踊り続ける二人。それを外からのぞき見する3人。いや、4人。自分のダンスを見せつけあっていた2人は、いつの間にか同じステップを踏んでいます。手を打ち鳴らす音とタップの音がホールに響き渡る。
ダンスなど教えなければ良かったのか。そうすれば彼らは生き続けられたのか。
俺は。あの時間が永遠に続けば良かったのにと。
そう思ってる。
みたいな。
後半戦が、ものすごく好き。パラサイトやジョジョラビットがあれだけもてはやされるなら、こっちにも、もっと人が集まっても良いと思う。埋もれるには残念過ぎる優秀賞な映画でした。
【イデオロギーの壁を乗越え、レッツ・ダンス! 朝鮮戦争の愚かさを米軍の振る舞いも含めて強烈に描いた作品でもある。】
1951年、朝鮮戦争時、韓国巨済にあった米軍の捕虜収容所が舞台。
収容所には、北朝鮮の捕虜(ロ・ギス達。但し、捕虜になった理由は微妙に違うし、そこが後半効いてくる。)
収容所のイメージアップを図る、ロバーツ所長の指示の下、
1.ブロードウエイの素晴らしさを語る、元タップダンサーの米黒人下士官 ジャクソンをリーダーとして、
2.ロ・ギス(D・O) 北朝鮮の捕虜。行方不明の兄と共に英雄視されているが浮かない顔。北朝鮮のイデオロギーに共感出来ていない。天性のダンスの力量を持つ。
ーあの、高速コサックダンスはCGですか?、自分で頑張ったんですか?-
3.両親を失い、家族を養うため語学力を武器に、通訳兼ダンサーとして活躍する気丈な女性ヤン・パンネ。ロ・ギスより少しだけ年上。
-健気で、芯が強く、可愛い。-
4.戦争の最中、妻と生き別れになってしまい、有名になって妻と再会するチャンスを得るためにチームに参加したカン・ビョンサム。
-泣き虫だけれど、良い。-
5.太っているが、栄養失調という訳の分からない設定のシャオパン。中国人。ダンスの切れは凄いが少ししか続かない・・。
-この人、絶妙にダンスが面白い。-
彼らが、収容所のクリスマスパーティーでのメイン舞台を務めるために、即席ダンスチームを結成し、純粋にダンスをする楽しさに目覚めていく姿を、
彼ら以外の人物の”様々な思惑を絡ませながら”描き出していく。
彼ら5人が国籍、思想の違いを、ダンスをする楽しさの中で”一瞬だけでも”忘れ、ひたすらに踊る姿が神々しい程に美しい・・。
<タップ・ダンスの美しさを随所で見ることが出来、大満足。デヴィッド・ボウイの”モダン・ラブ”が大音量で流れたシーンでは大興奮。
けれど、ラストはとても切なくて・・。
朝鮮半島の現在の状況を鑑みても、切なさは募るばかりである・・。>
映画『スウィング・キッズ』は
最も苦しい時代に最も不釣り合いな人たちが出会い
“ダンス”という一つのキーワードで
幸せをつかむために必死に生きた寄せ集めダンスチームの物語です。
韓国の悲劇の歴史である朝鮮戦争を背景に
皮肉なことに、最も胸がときめく行為である
“ダンス”というモチーフを通して
戦争とイデオロギーについて語りたいと思いました。
どこか頼りないけれどもダンスへの情熱だけは最高の
寄せ集めダンスチーム、
一緒に踊りたくなり、思い切り応援したくなる
スウィングキッズのステージにご期待ください。
監督 カン・ヒョンチョル
素晴らしいという思いと残念な思い
予告で期待値ぶち上げて、評判の良さもそれに拍車をかけ、
かなりワクワクして観にいきました。
良作ばかり出て演技力の高さに毎回驚かされるEXOのD.Oに今回も魅了されました。
そしてとにかく音楽とカメラワーク、演出が素晴らしい。
タップダンスにノリノリな気分になり、韓国らしいコメディ部分で笑い、戦争の非情さや現実に恐怖して、様々なキャラクター同士の関係性に微笑んだり切なくなったり。
心に残るシーンがとても多かったです。
ジャクソンがクリスマス公演の前に、メンバー紹介をするとき、戦争がなかったときの彼らの人生を想像して、すごく胸に残った。
戦争がなかっただけであり得た人生や夢や思い出があって、しかし戦争がなければ彼らは収容所で出会いダンスチームを組むことはなく…
戦争という原因で出会うしかなかった彼らのことが、ただただ切なくなった。
ただ本当に残念だったのは、
構成がイマイチだったこと。
ラストを考えても、もっとチームの絆やキャラクターを描くべきだったと思う。
私的にはそれらが収容所の現実や戦争の悲惨さ、意外な黒幕?などに負け過ぎていて、ラストにあまり心を打たれなかった。もちろん辛かったけれど
シネマート新宿にて観賞
巨済捕虜収容所について、作品冒頭でテンポ良く分かり易く説明が入るが、捕虜が勢力を分けて相争い、なんとアメリカ軍の収容所所長が捕虜側の人質になり解放折衝が行われる事件まであったという。そんなことって有り得るのか?
作品で描かれる血生臭い闘争や、アメリカ軍のコントロール上の苦慮も、意外や事実に基づくものということ。勉強になりました。
そんな過酷な状況の中で、触れてはいけない文化への渇望、踊ることへの情熱、離れた妻や子への情念……これらがタップダンスに昇華する展開は涙無しには見ることが出来ない。
特に主人公ロ・ギスとヤン・パンネが、ダンスで己を縛るものを突破するシーンの熱さは、たとえ妄想だとしても涙を禁じ得ない。
そんな想いが結実したクライマックスも、やはり再び涙無しには見れない。演者のダンスは勿論のこと、音楽に呼応した適切なカットや撮影も力強い。現在の韓国映画の娯楽力の強さもハリウッドに劣らないと改めて感じさせられた。
だがしかし、観終わった後で私は憤怒した。この作品の作り手が許せなかった。映画を観た後で怒りを覚えるのは久しぶりだ。
チーム「スウィング・キッズ」を私に、ここまで好きにさせておいて、作り手は彼らの未来を、あっさり意味も無く摘み取ってしまう。酷すぎないか。
この物語は事実には基づかない。登場人物の未来は作り手の差配一つだ。こんな結末を与えるなんて作り手にハートはあるのか?
厳しい舞台設定であり、悲劇で物語ることに自体には異論は無い。だとしても話運びがうまくなさ過ぎる。
意思疎通が困難になっても通じ合う兄弟、ロ・ギスへの視線が変化した踊れる米兵ジェイミー、祖母想いの裏切り者、B級アクション紛いに正体を現すサディスティックな黒幕……これらの要素が最後の悲劇にまるで活きていない。機関銃をぶっ放して後は放置だ。あんまりだ。
私は、結末を自分の脳内で書き換えて怒りを霧散させることにした。
(以下私の妄想)
・ダンスの終演後、ロ・ギスは銃を取りに行くが、兄が舞台裏に居た。ここまで同じ。
・兄は銃を手にして所長でなく黒幕をステージの外で撃つ。弟に降りかかった厄災を全て己で引き受けて。祖母想いの裏切り者がロギスを省いて顛末を米軍に伝える。
・結局ダンスはマスコミ受けが良く、所長も彼らをある程度厚遇せざるを得ない。
・場面は変わり、戦後。ビョンサム(おじさん)は妻と帰路につく。シャオパン(ぽっちゃり)は母国の農村で踊って食っている。ジャクソンは沖縄で妻子と再会する。
・ロギスとヤン・パンネはジェイミーの手引きでアメリカへ。「どうなるか分からないけど、カーネギーホールが俺たちを待っている!」
皆、イデオロギーに打ち勝つ。ハッピーエンドで良いじゃないか。
自由の足音
一言で言ってしまうと「ファッキン イデオロギー」が全てとなってしまうんですが、主義の話できるほどの頭がないので感想だけ書きます。
ダンス映画として人に勧めるにはちょっと色々激重過ぎるので勧めにくいですが、そういう映画だからこそダンスをしているときの自由が何よりも尊く、際立って見えると言えるのでなんとも難しい。
タップダンスの軽快なリズムが作中の差別やイデオロギーを軽くしていますし。
ロ・ギスが舞台上で最後一人でタップダンスをする姿は、『セッション』で最後のドラムソロ観てる時の気分になりました。
そして、もう展開が見えてしまっているのに、どうしてもハッピーエンドを望んでしまいました。カーネギーホールに響く自由のタップダンスの音を聴いてみたかったです。
エンタメと社会性のマリアージュ
朝鮮戦争中の収容所で、人種やイデオロギーもさまざまなメンバーがタップダンスチームを結成。王道のダンス映画で、凸凹チームの友情物語で、最高のエンタメ。
それでいて、当時の社会を、戦争のむごさを、残酷なくらいにシビアに描いている。そのバランスがすばらしいと思いました。
最後のダンスシーンのカタルシスたるや…!
笑っていいのか、泣いていいのかわからない。
ハッピーなだけではないけど、最高…!!
予告編では、ハッピーで爽快なミュージカル映画という印象で、見始めてしばらくの間も「韓国版フラガールみたいな感じかな?最後はみんなで圧巻のショーをしてハッピーエンドなんだろうな〜」とワクワクして見てました。
が、後半になるにつれ戦争や主義思想や差別といった重い現実が容赦無く斬り込んでくるように…。
それでも、それに対抗するように間々で主人公やヒロインらの力強いタップと軽快で心躍る音楽が鳴るたびに胸が熱くなります。
ファッキン・イデオロギー!!
よくオススメの作品に出会うと「全人類見て」とツイートしますが、本当にもし全人類がただ心躍る音楽に乗せて心のままに楽しく踊れたらどんなに良いだろうかと思います…。
ダンスシーンがたっぷり
収容所で様々な立場の捕虜たちのダンスチームが、という予告に、スポコン的な青春ドラマ的なハッピーストーリーかと思いきや、いい意味で裏切られます。
だって、戦争だもんな。それも、同じ民族を引き裂く。
そして、引き裂かれるのは、北と南だけではない。
若者の夢も、時代やイデオロギーに壊されてしまう。
あるいは、平和なら殺戮マシーンにならなくて済んだはずの男がヒーローに祭り上げられる。
理不尽な結末は、戦争だからと云うだけではないだろう。愚かな権力者の気まぐれで命を取られるむなしさに、呆然となる。
ダンスシーンの本気度が凄いだけに、ジャクソンたちの無念に胸をえぐられる
また韓国から名作映画が
捕虜収容所の面々が、タップダンスを通じて、イデオロギーを乗り越えて解り合うって話なのね。
タップダンスのチームを組むまでは、笑いでもってくんだけど、ここのセンスがチャウ・シンチーみたいで超面白いの。韓国映画は色んな笑いを描けるんだと思った。
収容所側のアメリカ人もやっつけるし、笑って、楽しくタップダンスを観てればいいのかと思うんだけど、そこはそうはいかないの。朝鮮戦争やってるからね。
主人公はコミュニズム側だから、タップダンスなんかやってると、反動分子と見られちゃうのね。でも、音楽が聞こえると心が躍る。クリスマスにステージ公演が準備されてるけど、さあ、どうすんだと。
その間も戦争の悲惨さは描かれんの。生き別れた嫁さんが、買春やってて、それでも「生きてて良かった」って捕虜が涙を流すシーンとかもう「アメリカふざけんな!」って気分になるしね。
色々あって、主人公は所長への刺客としてステージに立つことになって、ステージ自体は大成功なの。ステージシーンは楽しい。
でも、主人公は退路をたって、所長を殺さなきゃ……ってところで、うまいこと殺さずにすんで「良かった。大団円だ」と思ったところからが凄かった。
韓国映画は権力を信じないよね。権力を握ったら、必ず悪いことをやるっていうのが、透徹してる。
観てて思ったのは、朝鮮戦争って、本当に代理戦争だね。アメリカもソ連も、朝鮮の人たちのことを考えたわけじゃなくて、自分たちの利益のために利用してる。ほんと酷いよ。Fuckin' Ideologyだよ。
コミュニストはタップダンスの夢を見るか
朝鮮戦争中の捕虜収容所でタップダンスの公演を命令された黒人下士官。捕虜となっている朝鮮人からメンバーを募りダンスを教えていくという話。
序盤は、勝利への脱出や大脱走みたいな収容所映画に似た雰囲気を感じるが、そこはダンス映画。ウェストサイドストーリーのようなダンスバトルがあって、(ミュージカルが苦手な自分は)やや白けてしまった。
ところが逆にこのシーンがあったことで非現実な世界へと入らせてくれた。ダンスのときにかかる曲がThe Isley BrothersのShoutとかDavid BowieのModern Loveなんだもの。時代めちゃくちゃだなと思いつつ、それらのダンスシーンがメチャメチャかっこいいことに驚く。疾走感があって、躍動感があって、踊りたいという衝動に突き動かされていることが伝わってきた。
そして5人で踊るダンス公演のシーン。次に待ち受けていることがわかるだけに切ない。でも素晴らしい踊りと演出。ワクワクしながら悲しい涙が流れるなんて珍しい体験だった。一人で残って踊るギスは、これが最後だとわかるからこそまだ踊っていたい、そんな気持ちが見えてさらに切なくなった。
あー、でもなんでだよ!全員殺す必要あった?そんな展開もあるかもしれないけど、いつの間にか感情移入していた身としては複雑な気持ちになった。
そしてThe beatlesのFree As A Birdかよ。卑怯だな、おい。いい映画じゃねーか!
『パラサイト』よりも秀逸!意味と意義の有る作品!
前半は楽しいタップダンス映画なのに後半は悲惨な朝鮮戦争での悲劇。
なのでどうしても「前半は楽しい娯楽映画なのに後半は後味の悪い人殺し映画」の『パラサイト』と比較してしまいました。
とにかく、敵も味方も、兵隊も民衆も、北も南も、白人兵も黒人兵も、正直者も裏切り者さえも感情移入して観ることができました。
でもこの捕虜収容所の歴史はアメリカにとっては触れられたくない汚点なので、『パラサイト』のようにアメリカで高く評価されることはないでしょう。
もし、〈世界アカデミー賞〉が有ったら制作年度が異なりますが、本作が『パラサイト』よりも高く評価されるでしょうね。
全20件を表示