ブルーノート・レコード ジャズを超えてのレビュー・感想・評価
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ジャズは超えないで・・
ブルーノート・レコードといえばモダンJAZZの代名詞、80周年記念でドキュメンタリーが作られたようです。
製作はスイスのミラフィルム、プロデューサーは唐沢千恵美、監督はソフィー・フーバーとドキュメンタリーに特化した会社と女性陣が作ったということは意外、監督は特にJAZZファンでもなくユダヤ人迫害のドイツからアメリカに逃れ、黒人ジャズの魅力に惹かれレコード会社を作ったという創設者のアルフレッド・ライオンという人物に興味を持ったようだ。
音楽家でもジャーナリストでもないので只管、ミュージシャンや関係者のインタビューを撮り、それらの声からブルーノートの魅力、舞台裏を伝えようとしています。
大筋はレーベルの黎明期、数々のヒットを生んだ50~60年代、売却、休眠を経て復活の再生期、サンプリングとヒップホップが結合、現社長ドン・ウォズによって新しい歩みを始めた現代の流れとなっています。
黒人ミュージシャンの信頼を得たのは創設者自らも人種差別に苦しんだユダヤ人だったからだろうと推察できますね。ヒップ・ホップアーティストのテラス・マーティンは80年代は教育方針の転換で学校から楽器が無くなり、どこの家にもあったレコードとプレイヤーを楽器代わりに使うと言うアイデアを産み出し、期せずしてレーベルの再注目に繋がったという面白い考察をしていました。
レーベル視点の映画ですから古いJAZZを超えて躍進という流れなのでしょうがJAZZファンとしては混ぜ物をしなくても演奏は残っているし超えてもらう必要は感じません。
昔は熱狂的なJAZZファンが多く贔屓もそれぞれ、JAZZ喫茶でケニー・ドリュー・トリオをリクエストして睨まれたり、渋谷のヤマハのバーゲンで割り込みを咎めたら殴られた苦い思い出もありますからブルーノートへの思い入れはひとしおです。懐かしいジャケット、演奏もところどころありましたがインタービューが主体なので演奏を期待する向きには不満かも・・。
血脈は絶えた……のか
迫害から逃れた二人のユダヤ人が、社会的評価の低かった黒人ミュージシャンをリスペクトし、友人として助け、アーティストとして世に知らしめた、僕らがよく知るブルーノートの物語は前半。
生き証人として、ハービー・ハンコックとウェイン・ショーターのインタビューとレコーディング・セッション。
彼らを仲介として、ラップ・ミュージシャンも受け容れる新生ブルーノートへの「発展」
といった三部構成。
前半は、非常な早足。おいおい、マックス・ローチでもムリなテンポだよ。
貴重なエピソードや映像は楽しいけど。
ここまでをじっくり作品にしてくれていたら、5つ星もあった感じ。
御大お二人はお元気で何よりだが、偉大な諸先輩と同等以上にフューチャーしたことで、音楽映画としてはダレてくる。
新しいレーベルは、アーティスト・ファーストのポリシーの復活・再生と言いたいのだろうが、伝わらない。ショービジネスの臭いがつきまとう。
木に竹を継いだ感が拭えず、星3つには届かない。
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