「「裁かず、新たな価値を見出す」」ブルーノート・レコード ジャズを超えて sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
「裁かず、新たな価値を見出す」
全編、ブルーノートに関わった人たちの貴重な証言によって構成されており、黎明期から、現在に至るまでの流れを85分でコンパクトに描き出す。
ウェイン・ショーターとハービー・ハンコック2人のセクションがとてもよい。
ハービー自身、「瞬時に自分のミスを、顔も向けずに修復してくれる」と歳下のミュージシャンに頼られる圧倒的な存在なのだが、実はその根底には「マイルス・デイヴィスに、プレイ中の言い訳できないミスを、新たな価値ある表現として正当化してもらった」経験があったという。
その場面が、自分的には、一番胸熱だった。
一人一人の独自性を持ちながら、互いに影響し合って新たなものを生み出すブルーノートのミュージシャンたちの熱気と、それを「自由にやれ」とリハーサル料まで払って支えた創業者の2人の在り方が、JAZZからヒップホップへ、そして公民権運動からBLMへという流れまでつながっている。
単なるブルーノートというレーベルの歴史に留まらない年代記の秀作だと思う。
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