劇場公開日 2020年2月28日

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「死んだ気になりゃ --- 笑えて血みどろバイオレンスで胸スカッとす...」初恋 とーりさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5死んだ気になりゃ --- 笑えて血みどろバイオレンスで胸スカッとす...

2020年3月1日
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死んだ気になりゃ --- 笑えて血みどろバイオレンスで胸スカッとするアクション、何より人々を楽しませたいというエンタメ精神に根付く映画愛、が詰まっている! 例えば映画には製作意図やメッセージが無いといけないとかそれを読み取るのに躍起になるのも悪くないけど、本来純粋に楽しければ良かったはず。そんな子供のときのピュアな気持ちが大人の世界で繰り広げられる一夜。そう、まるで少年達が血みどろの80年代洋ホラーや『仁義なき戦い』などヤクザ映画に出会って夢中になったように! そうした不謹慎も武器にした一種映画というファンタジーを最大限活用しながら、それだけで終わることなくしっかりと現実を見据えたラストの静かなる余韻。この作品の裏にもまたも立役者であるプロデューサー紀伊さんの存在(ex. 『孤狼の血』『見えない目撃者』)。どうやら彼が三池監督に「作りたいもの作りましょう!」と持ちかけたとか。そして『孤狼の血』に続いての激渋エンドロールがこれまた反則。私、生きてみる。
"役者"窪田正孝の代表作 --- 彼の死んだ目でクールに口数少なく、巻き込まれ型であれ、劇中で変わっていく姿には主人公然とした魅力がしっかりとあった、そして極限まで絞られた体もリアリティをもたらす。次に相変わらずの小物(小悪党)感で最低な役柄ながら芸達者に物語中盤まで引っ張っていく染谷将太。--- そして、時代に置いていかれた"ヤクザへのレクイエム"というテーマを体現する武闘派ヤクザ役の内野聖陽さん。彼は日本を代表するメソッド俳優っぷりで、時に健さんや文太さんが乗り移ったようですらある(『孤狼の血』の竹野内豊とは違う方向で?その様は『きのう何食べた?』好きにこそ見てほしい)。他にもどのキャラも愛しく、王道とその裏をかく時に"しつこい"くらいゴリゴリダメ押しの脚本が最高。強いて言うなら「ここでこのキャラどう思ってるの? 絶対ビックリしてるって! 顔見せて」みたいなこともあったけど、それでもやっぱりこれだけの人数のキャラクターをここまで印象濃く描き分けて、違和感なく面白く捌いてみせる手腕には唸る。上述したような疑問ポイントも、それぞれのシーンや見せ場ごとにそれぞれのキャラクターでの役割分担があったと考えれば、スッと飲み込めるかも。

去年のカンヌか北米市場公開時くらいからずっと見たかった本作遂に見た!コレは紛れもなく日本一忙しい雇われ監督三池さんではなく、映画ファンが愛する世界のMIIKE。
死んだ気になりゃ何でもできるはず!自分も映画作りたくなった!作りたい映画作っていいんだって思えた。エンドロールに知り合いの名前があって悔しい。

パンフレット売れ切れてたショック

とぽとぽ