「コロナ以前」見えない目撃者 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
コロナ以前
なるほど~ 韓国映画のリメイクでしたか~
原作を知らないので邦画から感じた感想ということになってしまうが、登場人物たちの設定と物語の構成はとてもよくできていた。
しかしながら、構成をつなぎ合わせるためのプロットは粗が多くご都合主義的になってしまっている感は否めなかった。
「1秒先の彼」と「1秒先の彼女」のようにいくつか設定が違うのだろうか?
サスペンスとしての流れは悪くなく娯楽として楽しめたが、細部はどうしても粗さが気になってしまった。
コロナ前の作品
コロナ渦では様々な規制がされ生きにくさが生まれたが、この間に邦画が大きく生まれ変わったのかもしれないように思う。
この作品に描かれているように普遍的価値観である、主人の変化と成長
同時に彼女をサポートする男子高校生の成長
彼女にとってそれは弟のような存在
やりたいことなど何もなかったのが、警察官を目指したいとなる。
犯人が警官だったという大どんでん返しも悪くなかったが、その行動には多々疑問点が残ってしまう。
特に基地となったあの屋敷での犯人の行動はあまりにもご都合主義的だった。
また、
「家の間取りを教えて」
と主人公がいうが、目が見えない人にいったいどうやって間取りなど説明できるのだろう?
このような些細な疑問点を徹底的につぶしていったのが、コロナ後の邦画なのかもしれない。
特に裏設定というのか、表面上見えない設定が仕込まれていて、そこに気づけた人がさらに物語が楽しめるような仕込みが数多くなったように感じた。
例えば同年代に出た「みをつくし料理帖」では、小料理店に通う武士(窪塚洋介さん)が一体何を考えていたのかという点がとても面白く感じた。
武士はいつも小料理店で食事をするが、主人公の料理に対し感想を述べる。
表面上それは主人公の料理の腕の成長を意味するが、武士として、男としてどんな女性を選ぶべきなのかというのを彼はずっと思案していたのだろう。
彼はお家という絶対に背くが時すでに遅し、さっきまで見えていた縁というものがいつの間にかなくなっていたことに気づく。去り際の後ろ姿。
その演技と構成と細部にわたるプロットが素晴らしかった。
主人公以外の設定の細部にこそ神が宿るのだろう。