「「幸せなひとりぼっち」の女性版、もしくは「輝ける人生」のスウェーデン版」ブリット=マリーの幸せなひとりだち 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
「幸せなひとりぼっち」の女性版、もしくは「輝ける人生」のスウェーデン版
同じスウェーデン映画の「幸せなひとりぼっち」に寄せた邦題だが、それもそのはず、2作とも同国の作家フレドリック・バックマンの小説が原作。非社交的なシニアが意図せず若い世代と関わるようになり、自らの生き方や幸せに改めて向き合う大筋も共通する。
他にも似た映画が、と思い出したのが英国発の「輝ける人生」。これも長年連れ添った夫の浮気を契機に高齢主婦が家を出て、人生をリスタートさせる話だった。ただしあちらはシニア同士の関係がメインだったが、本作はサッカー少年少女の指導や地元住民らとの関わりがある分、より多様な心の交流がある。
夫が妻を家政婦のように扱い、夫婦間にまともな会話すらない序盤の描写は、日本では昔ながらの残念な光景だが、ジェンダー意識も幸福度も高そうな北欧から出てきたのは意外。この手の映画が増えたのは、高齢化が進みシニアの自立が世界共通の課題になりつつあることの表れかもしれない。
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