「京アニ作品を劇場で見られる幸せをあなたも!」ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5京アニ作品を劇場で見られる幸せをあなたも!

2019年9月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

久しぶりに聞くヴァイオレットの落ち着いたやわらかな声が、心にすーっと染み入るようでした。彼女の素朴で真っ直ぐな瞳と言葉は、他の登場人物はもちろん、私たち観客の心もとらえて放しません。本当にすばらしい作品です。

京アニのクオリティの高さは誰もが知るところで、テレビ版でも十分なのですが、本作はさらにいいです。背景の美しさは息を飲むほどで、木漏れ日や吹き抜ける風は、客席にも届くようでした。そして、人物にいたっては、わずかな表情の変化や何気ない瞳の動きからですら心情が読み取れるほど、実によく描写されていると感じました。そこにプロの声優が魂を吹き込むのだから、感動しないはずがないです。

キャラも人間味あふれる人ばかりで、その誰にでも共感できるほどでした。ヴァイオレットの献身とエイミーの変容、またそれを受けて友情を感じるヴァイオレットもよかったし、一通の手紙をきっかけにテイラーが成長していく様子もとても自然で、心が温かくなりました。中でも今回のイチオシは、なんといってもベネディクト・ブルー!相変わらず口は悪いが、根は優しい彼の言葉「届かなくていい手紙なんてない」には自然と涙が頬をつたいました。

メール、SNS等による伝達が主流の現代において、手紙を書く、まして手で書くなどという機会はほとんどありません。それでも手紙がなくならないのは、手紙だけが持つあたたかさがあるからだと思います。機械文字と違い、二つと同じものが存在しない手書き文字には、自ずとその時の書き手の心が表れます。そして、書き手が読み手を想って手間と時間をかけてしたためたことを、読み手は無条件に感じます。だから、手紙に込められたものは「心」そのものであり、受け取った人は「幸せ」を感じるのでしょう。「郵便配達人は幸せを運んでいる」まさにそのとおりです。

本作は外伝と銘打つだけあって、テレビシリーズとはやや異なるテイストの仕上がりでした。おかげで、ストーリーそのものは初見の方でも楽しめる内容になっています。しかし、なぜヴァイオレットが「仕事」を「任務」と呼び、ネックレスを大切にし、「愛してる」を知りたいと願い、ドールとなったのか、彼女の背景を知らなければ、わからないことも多いです。ですから、本当の意味で本作を楽しむには、やはりテレビシリーズの予習は必要でしょう。ヴァイオレットの過去を知れば、彼女が紡ぐ言葉の意味をより深く感じることができ、作品の奥行きが増すと思います。

公開初日とあって平日の夕方にも関わらず、劇場内は大勢の観客が詰めかけていました。しかも、高校生から還暦越えと思われるお年寄りも何人もいて、老若男女問わず幅広いファンに支持されていることを改めて感じました。こんなすばらしい作品を届けてくれた京アニに、ただただ感謝です。来年1月公開予定の劇場版は公開延期のアナウンスがなされましたが、京アニのみなさんに感謝しつつ、ファンとして喜んで待ちたいと思います。

おじゃる
多摩さんのコメント
2019年9月9日

言葉が雑になりすみません。コメントをしたのはいいのですが、全て気持ちを代弁してくださっているようで感謝致します(´-ι_-`)

多摩