「アンビエント少年」暁闇 ニックルさんの映画レビュー(感想・評価)
アンビエント少年
少年少女の虚無感の群像。登場人物の誰の事も好ましく映らないのは虚無から生まれる行動の背景に切実な何かが感じられないからだ。
とりあえず、あのレベルの教育困難校(?)の生徒がアンビエントミュージックを聴いたりしてるのか?という所がまず疑問。少なくとも自分はリアリティ感じなかった。アーティストに拘って聴くというジャンルでもなかろうに、他の凡百のアーティストと彼の音楽がどう違うのか分からないし、映画でそれを分からせるって出来るのかな?先生の授業の声を背景で鳴らすとか?苦笑
3人の出会わせ方とか、もうちょっと捻りが効かなかったのかなと思う。2人で屋上に行くんじゃなくて、近くで偶然会うとか色々やりようがあったと思う。少年が作曲してるって何故すぐバレるのかも分からない。そこは勘違いされてどうでも良い情報なのにバレないとかにしておけばもうちょっと狙ってる気怠さに近づくように思う。
そしてこの話が今の東京の少年少女に特有の何かを抉ってきてくれれば良作になったような気がするのだが...10年前の渋谷とこの映画の渋谷、なにが違うのかが分からない。
少年の父親の設定は気怠くて面白い。しかも勤めている高校で生徒から教員いじめに遭っていて生徒とヤってるというのが。もうちょっと掘り下げれば、子供が怖いというストレスを子供とのセックスで解消するという、現代的な教師像になったと思うのだが。それが息子にバレるための動線が窓辺にいるのを見るというだけなのがうーんとなるけど。
逆に小説好きな少女の父親はステロタイプで辟易する。
音楽ありきで企画しなきゃいけないって所が難しそうなのだけど、この話の場合少年が作曲やってるって設定は必要かな?と思う。別に映画音楽としてミュージシャンを押して、という事だけじゃだめなのだろうか?と。