「わかりにくい点はあるが、重要な問題提起を含む映画。」天国にちがいない yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
わかりにくい点はあるが、重要な問題提起を含む映画。
今年19本目(合計86本目)。
今日(31日)は何と4本も視聴しました(2本目のダメージが大きすぎたので、「○本見たら1本無料」で、心を洗うためにヴァイオレット~を見ました。2本目のダメージは大きかったです。当該映画で後述)。
さて、こちらの映画。どうも上映している映画館自体が少ないようです(大阪市では1本)。
物語の内容としては場所が飛び飛びに移動し、また、何名かの方のレビューにもある通り、途中から主人公はほぼ無言になり描写だけで進むので、厳密に映画なのか?というと微妙な気がします。ただそこは大きな減点要素ではないだろうと思います(映画の言いたいことが伝わればよいので)。
この問題がテーマにしているのは、いわゆる「パレスチナ問題」です。日本で外国を含むいろいろな問題といえば、身近なところでは竹島・北方領土の帰属問題、台湾の呼称問題などがあげられるかと思いますが、逆にそれらが大半どころか95%を占めるため、日本でパレスチナ問題が取り上げられることはほぼありません。
すなわち、このことを積極的に知らないとならないのですが、この問題は日本と隣国が抱えている問題、すなわち全世界からみれば「2国間の争い」ではなく、極めて根の深い問題です。
しかしこの問題は本当に根の深い問題であり、ドキュメンタリー映画として成立させようとすれば、もういわゆるインターミッションを含むレベルの5時間級になってしまいます。それはさすがに今の日本では無理なので(コロナ事情…)、コメディタッチに仕上げた一方で、ちゃんとパレスチナ問題と扱っており(この単語も明示的に出ます)、それに関すること(迫害事情)も出ます(量としては少なめ)。そのため、映画館を出てスマホなどで「パレスチナ問題」と調べれば色々資料は出てくるのであり、日本が竹島や北方領土問題で争っている以上に、世界レベルではこのようなもっともっと根の深い問題があるということの問題提起、という点では非常に意義が高いものと思います。
※ なお、だからといって、日本が竹島問題などを適当に扱って良いということを意味「せず」、それはそれで切り離して日本は言うべきところは言うべきでしょう。
日本でこのような映画が公開されること自体が本当に少なく、かつ、それも真向から取り上げると5時間コースであり、しかも観客側に一定の知識があることを前提にする必要があるところ、本映画はそれを不要とし、コメディ的映画(コメディか?というと微妙ですが、あえて言えば。まさかこれをホラーという人はいないでしょう)に仕上げ、かつ、パレスチナ問題を提起した点は大きく、そこは高く評価しました。
さて、採点に入りましょう。
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(減点0.1) とはいえ、パレスチナ問題を扱うこと自体、それ自体は事実ですが、明確な提起はなく(単語は出ますので、映画館を「出てから」(鑑賞中に調べるのはマナー違反)調べることになりますが、パレスチナ問題は日本ではあまり知られていないので、そこは何らか字幕などで工夫は欲しかったです(最悪、言いたいことが伝わらない恐れがある)。
ただ、これは字幕側の問題で、あることないこと勝手に字幕に付け加える権限はないはずなので、ここはこの程度の減点要素です。
(減点0.1) 主人公がいろいろな場所を旅する事情から、英語圏~フランス語圏など色々な場所が登場しますが、英語を話すところでは明確に文法ミスがあります(字幕も間違っている。普通に聞き取ると何が言いたいのか不明)。ただ、本映画ではそれは本質筋ではなく、理解に多少影響を与える程度である一方、英語をある程度解する人だと「何がなんだか???」になる点は否定できず、これは減点要素としました(ただ、些細な問題であり、全体の理解を妨げるものではないので、0.1どまり)。
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