燃ゆる女の肖像のレビュー・感想・評価
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退屈な美
私的には、テンポが合わないかな
本作品、予告編で見た時、絵にまつわるサスペンス映画なんだろうと勝手にイメージして見に来ましたが・・・・
私の勝手なイメージだったので、正直裏切られまいた・・・・
色々と見方はひとそれぞれあるでしょうが、私的には、合わない映画・・・
内容の方もあるような無いような・・・・お話が大変にゆっくり淡々と進むので、私的にはついて行くのがやっと・・・・
簡単に内容を話ば、お金持ちの娘の縁談の為に、肖像画を書く依頼を受けた画家が、対象となる女性と向かい合っているうちに、恋愛と言うのとは違い、互いを知る事による親近感を超えた想いと言うのですかね、男性同士で有れば、また表現は変わってくるのですが、女性同士なら、このような展開になるんでしょうね・・・
しかし、その感情変化などが、本作品のテンポや作り方で、私的には、その変化の過程が掴みにくいかな・・・
景色み綺麗だし、出てくる女優さんも大変に綺麗ですが、私的には、少し合わない映画だったかな・・・
自分は繊細ではないし女性でもないのだが・・・
「こんなにも繊細な作品は観たことがない」(グザヴィエ・ドラン)だそうだ。
「そうか、自分は繊細ではないし、LGBTでもないし、女性でもないのだから、理解できないのだ」と、何度も居眠りしながら観ていた。実に眠かった。
「きっと観る人が観れば、交わされた台詞やちょっとした仕草の背後に、微妙なニュアンスや秘めた情熱を感じ取るのだろう」と。
主人公の持ち込んだ2枚のカンバスが、イントロで強調され、その後の展開を暗示するなど、“芸が細かい”のは確かだ。
ところが、映画の終わり近くなって急展開し、話が怪しくなる。
二人の情熱は燃え上がるものの、実は互いのことはあまり理解し合っているわけではなかったようなのだ。
つまり、台詞や仕草には、別に深い意味は無かったということになる。
たかだか2週間くらいの間に、エロイーズが笑うようになり、「私も変わった」などと平然と言い放っているのを聞くと、「はぁ?」となってしまう。
少なくとも、肖像画の消された最初のバージョンの表情と、採用された最後のバージョンの表情は、逆であるべきではないだろうか?
まあ、最初のバージョンはクライアントのご機嫌を取るために、定型的に仕上げたのかもしれないが・・・。
映画のキモであるはずの肖像画そのものに、意味内容が感じられなかったのは残念だ。
どうも最近は、ジェンダーや人種が絡むと、ヨーロッパでの評価は“自動的に”高くなるのではないか?
「パラサイト」同様、カンヌの“ご威光で”過大評価されているような気がする。
こんな奇妙な状況が続くと、映画界にもトランプ大統領のような人間が現れても不思議ではない。
ともかく、徹底的に“女性目線”で、ほとんど男が出てこない本作品は、自分には難しすぎた。
なお、昔のブルターニュの田舎と言えば、ゴーギャンの絵にもあるように、少しエキゾチックな土地柄のはずだ。
火祭りの女達の合唱は、現地で採取した歌かは知らないが、民俗性が反映されているのかもしれない。
絵画のような美しい映像から見える怖さ
とにかく全てのシーンが美しく、抒情的。
波の音、暗い部屋、ろうそくの灯り、お祭りでの合唱。
18世紀のブリュターニュの孤島が舞台とのことだが、映像の美しさに圧倒される。
この時代の女性は、結婚して子供を産む道具でしかなかったのだろう。
主人公の女性も結婚はしないのかもしれないが、画家として、自分の名前で描くことはできず、父の名前で描いていたというところも驚く。
というより、女性が仕事を持って、自分の好きな人と結婚する自由を得ることができるようになったのも、まだ100年も経っていいないんじゃないか。
もっというなら、LGBTを公言できるようになったのだって、30年も経っていないと思う。
たぶん、本当に許されない愛、だったんだと思う。
その儚さと人を好きになるのにジェンダーは関係ないという燃えるような思いが、全編から痛いほど伝わってくる。
素晴らしいエモーショナルムービー
素晴らしい。もう『野菊の墓』(松田聖子主演)です。完全なる切ない恋愛。まあ絵描きの話くらいにしか思わず観に行ったのだが(笑)、アニエスヴァルダのような古典映画の快楽を持った現代映画。アデル、ブルー…も思い出した。
荒涼たる風景の、しかし壁の色、波の色、草木も光も絵画的な隔離された屋敷に、絵描きと嫁入り前の娘が肖像画を描くまで暮らす。その間に起こる魂の交換と原始的な恋愛のはじまり。狙いに狙ったバックショットが美しい。出会いの海辺の振り向きと、別れ間際の波打ち際の後ろ姿と。
ミニマルに攻めていって中盤ようやく音楽が加わり、ラストで一気に雪崩れ込む感情のピーク。オルフェのエピソードにもはっとさせられた。
音楽も説明も極力削ぎ落として語るモノとは。
女優も映像も美しいが
なんか観いってる
視線と表情で描く究極の恋愛表現!!
まだ限られた職業でしか、女性は社会に居場所を見出すことができなかった時代の中で、多くの女性が社会進出のきっかけとなったのが画家という職業でもあったことから、マリアンヌは18世紀のフェミニストでもあるのだ。
しかし、固定され、限られた概念の中では、まだまだその先に進むということは、未知の領域であり、人間として、女性として許される行為なのかということも判断が難しい環境だった。
時代を通してみれば、同性愛というものは、18世紀以前から存在していたものではあるのだが、芸術や歴史の中で知っていることと、自分の身に起きることでは、全く違ってくるだろう。
マリアンヌはフェミニストではあっても、少なくともエロイーズと出会うまでは、異性を愛し結婚をすることへの反発はあったものの、レズビアンではなかったように思えるし、そもそもその概念自体がマリアンヌの中には存在してなかった。
それがエロイーズと出会い、肖像画を完成させようと、表情や仕草のひとつひとつを観察するうちに、マリアンヌの中に何かが芽生えてくることが伝わってくる。その伝え方というのが、映画的でわかりやすい表現などによるものではなく、マリアンヌとエロイーズの視線や表情からなのだ。
そこには、女性同意の恋愛を描いているという表面上的なものではなく、人間が人間を愛する瞬間を絵画のように、詩のように、美しい景色をキャンバスにみたてて描いていくのである。
手が触れるかもしれない、唇が触れるかもしれないという緊張と恐怖、愛を交わす喜びが自然と口元に現れる。
細かい視線や表情だけで、どうしてここまで人を愛すること、愛の誕生の表現が可能なのかというと、勿論、今までにも女性同士の恋の芽生えを描き、自身がレズビアンでもある監督のセリーヌ・シアマや撮影のクレール・マトンの力、そして俳優達の演技力もそうなのだが、監督とエロイーズ役のアデル・エネルは、かつて実生活において、恋愛関係にあった間柄なのである。
本編でみせるマリアンヌの眼差しは、正に監督自身の眼差しでもあるのと同時に、アデルの目線も監督を見る眼差しなのである。
結果的に別々の道を歩むことになり、別れてしまった2人にとって、肖像画を描き終えることは、愛に終わりがくるという、マリアンヌとエロイーズの心情に重なるというメタファーともなっているのだ。
美しい景色と、優しい波や風の音が凄く心地よい作品でもあることから、寝不足では観ないことをおすすめしたい。視覚、聴覚的にかなり眠気を誘われる作品である。
美しき諍い女
遂に、、、
【オルフェとユリディス】
18世紀のフランスは、絶対主義が揺らぎ、ブルジョアジーが台頭し、革命が起きた時代だ。
ただ、この時代、まだ、カトリックの教えは支配的で、男性は女性に対して優位な地位にあった。
それは、ソフィの妊娠、そして、カトリックでは神の意思に背くおして禁止されている堕胎を人知れず行わなくてはならなかったことからも推測される通りだ。
また、禁じられていると云うところでは、同性愛も同様だ。
この作品は、プロローグからエピローグまで独特なピンと張り詰めたような緊張感が続く。
おそらく、現代とは異なり、この時代にはより厳しく禁じられていた同性愛が物語のテーマになっているからだろう。
マリアンヌとエロイーズの互いに抗えない気持ち。
エロイーズが抗うことの出来ない自身の運命。
この対比も独特な緊張感に繋がる。
こうしたなか、マリアンヌとエロイーズが画家と肖像画のモデルという関係を超えて接近し、気持ちが変化する様は、切なくも美しい。
作中で、引用されるオルフェとユリディス。
オルフェは振り返り、ユリディスは息絶える。
ユリディスは、オルフェに振り返って欲しかったのではないのか。
エロイーズは、ユリディスを自分に重ねたのではないのか。
抗うことの出来ない運命からは逃れられないと知っているから。
しかし、オルフェとユリディスの物語には続きがある。
息絶えたユリディスの後を追い、オルフェも自ら命を絶とうとするが、神はユリディスを生き返らせ、オルフェの元に返すのだ。
マリアンヌは、オルフェとユリディスの物語のように、エロイーズと再会できるのだと信じていたのではないのか。
だが、エロイーズはマリアンヌがそこにいると気付いていながら、涙を流し目を合わせようしない。
オルフェとユリディスの物語は男と女の物語だ。
神はこれを許しても、マリアンヌとエロイーズの愛を許さなかったのかもしれない。
燃ゆる女の肖像は、内面に燃えたぎる愛情を秘めた女性を表したものなのだろうか。
僕は、もしかしたら、この時代にあって、同性愛という禁忌を犯したものは焼かれるのだということを示唆しているのかもしれないとも思った。
時代背景、心の揺らぎ、運命、対比、引用された物語と似た展開と異なる結末が相乗効果と独特な緊張感をもたらす秀逸な作品だと思った。
圧倒的怒りと、束の間の(貴女にしか見せない)笑顔
《怒り》と(貴女にしか見せない)笑顔 --- 別れの瞬間、当人にしか分かり得ぬものを表現する。カンヌ国際映画祭脚本賞は伊達じゃない、流石のキャラクタースタディと構成力に唸る。けどそれを可能にしたのは、紛れもなく目が離せない主役二人の演技と演出による所が大きい。予定調和でなく二人の行く末が気になって仕方がない。日本語で言うところのシュールに変な緊張感が漂う。時にスリリングで、時に不思議とユーモラスですらあるという独特な空気感、作品を包む雰囲気が素晴らしい。何層にもなっていて考えさせられる。
《波》が高い ---- 主人公が自画像を描くシーンとラストカットは圧巻の一言で、本当に見入ってしまった。ポスタービジュアルにもなっている、火を囲むまさしく燃えるシーンもすごい。心をじっくりと時間をかけて開いていき、束の間の幸せの後に、性別/時代(= 女性であることの窮屈・不自由さ)や身分によって葛藤する様もリアル。安易な表現になってしまうが、もう出会うことのないと思っていた所から遂に見つけた情熱や命の炎。例えば本作が何年と明確に明示されていないのもと邪推したり、刹那、かくも魔力の虜になる。そうした普遍性故かも。どうしたら出来上がり?その時が来たら --- 28ページ
P.S. 主人公二人はデイジー・リドリーとグレタ・ガーウィグに似ている
勝手に関連作『美しき諍い女』『キャロル』『君の名前で僕を呼んで』『モーリス』『マディソン郡の橋』
静物画、ヴィヴァルディ、オルフェ
静かに強烈な映画で全て正確に頭に刻印されました。流れる映像の1コマ、1コマ、どこを切り取っても美しい絵画になる完成度に心揺さぶられました。
紺碧の海から、静物画の世界に観客を放り込んでしまう監督の手腕が素晴らしい。台所、パン(到着後、空腹のマリアンヌが食べてたのすごく美味しそうだった)、チーズ、ワイン、銀食器、グラス、パイプ、暖炉、蝋燭、本(オルフェの話が、後にマリアンヌが描く絵と共にすごく効いていた)、楽器(チェンバロ)、花瓶に活けられた花やハーブ、刺繍、ドレスやベッドリネンといった布、鏡、椅子やベッドなどの家具、キャンバスに筆にパレット、トランプ。全部、静物画のモチーフだ。
屋敷の中に響くのはひたすら生活の音。木の床を歩く靴の音、水やワインを注ぐ音、飲む音、暖炉の薪がはぜる音、布が擦れる音、チェンバロの音色。
最初はやけに眉間の皺が深いエロイーズが、どんどん綺麗に美しくなっていった。マリアンヌは泳げる、煙草を吸う、重い荷物も持つし堕胎の経験もある。何より職業画家だ、ただ描く対象は狭められ、父親の名前で絵を描く。どこにもいつでも、北斎とその娘みたいなのが居るんだ、と思った。
見られる立場(自分の意志に関わらず結婚することが決められている)のエロイーズには拒否したり言い返す強さがあって、見る側のマリアンヌには非常な用心深さと繊細さがある。エロイーズをマリアンヌは緻密に観察し、そのマリアンヌを私達が見つめる。視線の重なりが覗き見のようで罪悪感を覚えた。
詩人でも画家でもないエロイーズは、描く対象が限られている女の画家であるマリアンヌに絵の素材を提供する。焚き火の炎をスカートに纏うことで、ソフィに堕胎の時の格好をさせることで、そしてマリアンヌを想いながら決してマリアンヌを見ない自分を見せることで。
エロイーズは、「夏」を聞いて感動し、涙を流し、口を開けて呼吸し、官能的な表情を浮かべ、最後は恍惚とした笑顔になり、視線は一切動かさない。自分は見られる側に徹する、私は妻を見てしまうオルフェにはならない、あなたを見たらあなたを失う、あなたのことを追想しながら私は生きていく、とエロイーズはマリアンヌを見ずに伝えた。
タイトルなし
波立つ海・吹き付ける風
古城・蝋燭の灯り・肖像画
その絵画のような美しい映像
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18世紀
フランスブルターニュの孤島が舞台
結婚を控える貴族の娘エロイーズ
彼女の肖像画を依頼された画家マリアンヌ
一緒に過ごすうちに芽生えてくる感情
肖像画の完成は
二人の別れを意味する
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使われているのは2曲だけ
その効果は大きい
女性たちの合唱
🎼Laleune Fille en Feu
:ニーチェの詩から引用した歌詞をラテン語に書き起こしたオリジナル曲
ピアノで弾きそして映画のラストを飾る
🎼ヴィヴァルディ 協奏曲第2番ト短調 RV315「夏」
ラストシーン
エロイーズの表情から目が離せません
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『愛の美しさと共に美術や文学や音楽などのアートこそが私たちの感情を完全に解放してくれることを描きました』
(セリーヌシアマ監督)
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下女ソフィとの関わりもよかった
でもベッドに横たわり涙するソフィに
無邪気に手をのばす手。
このシーンは辛い
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