名もなき生涯のレビュー・感想・評価
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美しい筈なのに
罪のない人を攻撃し殺める戦争に、主導するヒトラーに、疑問を感じ自身の思想や信念を貫いた農夫と嫁の話。 一度は徴兵に応えるも、帰宅後再度の徴兵が始まる中で疑問を感じ、寄付に出征にと拒み村人と対立したり疎外される中で収監されて行くストーリーで、メイン以外の会話には字幕が付かず、一部メインにすら字幕も付かないけれど感情は伝わってくる。 とはいえ、それで良いのかという風にも感じるのは自分だけ?感じられるから良いのであれば尺も半分で充分に感じるし。 内容的には心が揺さぶられる程に響くことはなかったけど、のどかで美しい風景と空気感を引っかきまわす様な、悲しさや強さと人間らしさとやるせなさ等々、引っ掛かるものがあって面白かった。 ところで、あらすじには後に列福されたとわざわざ書かれているけれど、これは祭り上げられたってことですかね? 主人公が特別何かした様にも世間に影響を与えた様にも感じなかったけど…オーストリアでは有名人?
ドイツ語の字幕は?
長い!! 長すぎる!!! 物語が淡々と進んでいくので、正直、長さがつらかった もうちょいテンポよくするか、カットしてほしかった、個人的意見だけど あと、ドイツ語の字幕! アメリカとドイツの合作なのに、なんでつけないのか理解に苦しむ なに言ってるか分からないシチュエーションにする必要性を全く感じなかった と、それはさておき、内容としては 忠誠を拒むことは死を意味する それでも貫き通す信念 愛する家族を巻き込むその選択 言葉だけだ、と言われても、屈することのない頑ななその生き方 否定も肯定も出来なかった 自分に嘘をついて、分かったって言えばすむだけなのに 戦場に行って、人を殺めずにすむ選択肢も用意されるのに 貫いたことは愚かだろうか 誰かを正したいわけではなく、ただ、自分に嘘をつくことを拒むその生き方 それは愚かなことだろうか 私にはそうは思えなかった でも、一方で同じくらい、遺される人たちを考えれば その信念ゆえに死ぬことが正しいとも思えなかった どこまでも切なく悲しい生き方と信念だった
曖昧な正義と客観性
この映画を観て、僕達の正義とか、客観性が如何に曖昧で、ご都合主義なのかを考えてしまった。 信念や勇気に心を揺さぶられた他に、何かしっくり来ない感想もあるように思う(低評価ではなく)。 第一世界大戦後、当時の米大統領ウッドロー・ウイルソンが主導して、「民族自決」がヴェルサイユ条約の原則となり、欧州を中心に多くの国が独立し、オーストリア=ハプスブルク帝国は解体され、東欧にも小国が複数誕生した。 そして、この「民族自決」を盾に、ナチス・ヒトラーは、それぞれの地域の「ドイツ系」住民の保護を掲げチェコスロバキア、ポーランド、オーストリアに侵攻。 第一次世界大戦時に中心的同盟国だったオーストリア(旧オーストリア=ハプスブルグ帝国)を、ヒトラーは当初、併合する予定はなかったとされるが、オーストリア市民が、彼を熱狂的に迎え、支持してしまったことで、同国の併合の意思を固めたとされている。 この物語は、そんな第二次世界大戦さ中の物語だ。 ナチス・ドイツの支配をなかなか受け入れようとしないフランツに、村長が演説して聞かせようとする内容を耳にすると、当時のオーストリアが、オーストリア=ハプスブルク帝国の解体で如何に心理的にも参っていたのかが伺える。 ナチス・ドイツを拠り所にしたかったのだ。 ナチスに寄付ぐらいすれば良いじゃないか。 言葉だけ忠誠を誓うのなんて簡単だろう。 しかし、村人の嫌がらせや村八分、ナチスの苛烈な圧力には怒りを感じる。 これが僕達の曖昧で、ご都合主義の客観性だ。 これは、決して中立な思考ではないはずだ。 責任の所在を隠してるだけだ。 思想や政治の話はしませんも似たもののように思う。 しかし、なんとかしっかり意見を持ちたいという人だって、このフランツやファニの置かれた状況で、もしナチスが負けたということを知らないとしたら、僕達は彼らに対してどんな解決策を提示することができるだろうか。 所詮、僕達の正義や、客観性なんて、そんな程度なのだ。 だから、戦争はダメとか、人を殺してはならないといった最低限の普遍的な価値観は必要なのだ。 そう、迷わないように。 今、オーストリアでは極右政党が台頭している。 どこと争うとかではなく、移民や難民などに対する嫌悪がそうさせているのだ。 それは他の国でも同様だ。 ナショナリズムが静かに、そして、確実に侵食してる気がするのだ。 移民や難民・移民の出所は、先進国が蔑ろにしてきた国だったりする。 欧州連合の中にあっても貧富の差など埋まらず、中核国に対して、周辺国の扱いは変わらず、半ば搾取のような状態は続いていたのだ。 中東紛争国には、特定の国が武器を売りつけ、紛争を煽り、多くの難民を生み出してしまった。 どうして豊かな先進・武器輸出国は難民の受け入れを拒否できるのか。 これは、ローマ教皇の主張でもある。 しかし、そんな根本的な問題に対応しないまま、ナショナリズムが台頭してしまう現状。 温暖化問題も似たようなものだ。 映画では、フランツの神との対話の場面が多く綴られ、遠藤周作さんの沈黙も思い出すが、こちらはやはり宗教とは、また違う普遍的な価値観を、僕達に問うているように思う。 人間は強くない。 だから、コスモポリタンとして守るべき価値観は共有しなくてはならないと思う。 説教臭くて申し訳ない。
教養として観る映画
試写会にて鑑賞。 第二次世界大戦中のオーストリアを舞台に、ヒトラーに忠誠することを拒み、反逆罪で刑務所に入れられても、その信念を貫いた1人の農夫とその家族の実話に基づく話。 約3時間に及ぶ作品で、終始重く、途中で観るのが辛くなってしまったけど、これが人類が歩んだ歴史の一部って思うと、目を背けてはいけないとおもった。 教養として観るべき作品。 しかし、なんて残酷なんだろうか。。 ナチスとか戦争が、教科書や本に文字で書かれると、1つの歴史の出来事にしか過ぎない重みのない言葉になってしまうし、私たちが知ってるとしたら、そこで活躍した偉人の名前と主な出来事。 それが映画になったり本になったりするが、この戦争が続いた6年間という期間の中で、その他にもその時代を生きて耐えた無数の人たちがいて、そこには壮絶な人生があって、でも語られることなく、知られることなく、死んでいった人たちや、生き抜いた人たちがいたことを考えるとどうしようもなく胸が痛んだ。 この映画はタイトルの通り、この暗黒時代に名もなき人生を生きた人たちにスポットライトを当てている。 あと、主人公の農夫の信念を貫く意志と、それを信じる妻。私なら、絶対にできないと思う。嘘の誓いを立てて、命を選ぶだろうし、私の夫だったら、死ぬ気で止めようとするだろうなぁ。私の想像に及ばないわ。 この夫婦愛が素晴らしかったな。 撮影場所の山の風景もとても美しくて、映像がとにかく美しかった! 正直、3時間近く重い感じが続くのと淡々と続いていく比較的セリフも少ないので、好き嫌いは別れると思います! でも私は観て本当によかったと思う。
ヒトラーが嫌いな男の話
さて「名もなき生涯」です。久々のテレンス・マリック監督です。待てよ?おい!今年はオリンピックイヤーだ、と言うことは・・・ こち亀の日暮か❗️ 違いますね。すみません。もっと間が空いていますね。 7年に一度くらいですか? 長野の御柱祭りか❗️ それも違うわ!分かりづらいわ! この映画は2月21日公開ですので皆様がこの文章を目にするのは、かなり先でしょう。でも安心して下さい。ネタバレはいたしません。何故この映画を観たかと言うと、試写会の券を頂いたからです。その方はちゃんと仕事をして海外旅行も行ってるのに年に300本以上劇場で映画を観ています。 まじリスペクトっす!(EXIT風) いや無理だろ!なんでも休みの日は1日4本はしごをするらしい。映画を観るのも体力だ。私は去年は1日2本観たのが一回のみ。(悪の華と見えない目撃者) 虚弱体質か! 実はこの試写会の前に「ジョジョ・ラビット」を観ようかなと・・・思ったんですけど、この映画上映時間が約3時間!諦めました。とほほだよ。体力ないもん。 試写会の場所はニッショーホールです。虎ノ門に有ります。 吊り橋にひと晩ぶら下げられたりするのかなあ ? 虎の穴じゃねえよ❗️ さて毎度ですが枕が終わりました。今回は短めにしました。すいません。この先は読まないでもいいですよ。 舞台は第一次大戦に負けてナチス・ドイツに併合されたオーストリアです。 カンガルーやコアラがいるのかなあ? いねえよ❗️オースト【ラ】リアじゃねえ、オーストリアだよ! ただね・・・ナチスに占領された悲しさや以前は欧州の五大列強国と言われたオーストリアの没落。そんな悲しさは感じました。 三時間近い上映時間を危惧しましたが、飽きずにまた眠くならず、興味深く鑑賞しました。 簡単に物語を説明します。オーストリアの山村で暮らす農夫と妻の話です。第二次世界大戦が勃発して夫に招集令状が届きます。罪の無い人を殺したくない!愛する妻と別れたくない!そもそもヒトラーなんて大嫌いだ! 近所の人、司祭、村長、説得されますが忌避しようとします。が、とうとう兵役に・・・ そして・・・ 物語は夫婦の書簡によるモノローグで淡々と進みます。そしてそこにインサートされるアルプスの景色の美しさ。この世の【楽園】です。但し妻も村人から嫌われて辛い目に合います。 基本は全編英語です。(オーストリアの公用語はドイツ語)時々ドイツ語も入ります。 英語字幕も日本語字幕もついていないので何を言っているのか分かりません。でも伝わっちゃうんですね。 罵詈雑言、誹謗中傷、悪罵、面罵、 ドイツ語は破裂音が多く、きつい言語のイメージそのものです。 ますますヒトラーが嫌いになりました。あと個人的に思う事はテレンス・マリック監督はアーチストと言うよりアルチザン(職人)です。それも生粋の。スタンリー・キューブリック監督と同じカテゴリーです。あくまで私見ですが。 さて話しは少し変わります。私が中学生の時に 読んだ本。映画評論家の佐藤忠男氏の「映画をどう見るか」と言う本です。 内容を簡単に要約すると、映画は娯楽ではあるものの時代を写すものであり、プロパガンダであり、民俗にとっての自惚れ鏡である。この考え方は14歳の私に多大な影響を与えました。 この映画で言うと観た人は必ず農夫とその妻の視点になりナチスを憎むようになる。 ユダヤ人のルサンチマン。(恨み) 20世紀初頭に設立された五大メジャー(パラマウントやワーナー、ユニバーサル、MGM、FOX)創設したのは全てユダヤ系の人達です。 今でもスティーブン・スピルバーグを筆頭に沢山います。 ナチス、ヒトラーは絶対悪。娯楽映画でもあってもそれは金科玉条。ユダヤ系映画人にとってのエネミー。 だが映画でこの方法を最初に行ったのはナチスです。民族の祭典などです。ゲッペルスも狡猾です。 そして娯楽に見せかけたプロパガンダ。これって今も有りませんか?いや、具体的には言いませんが・・・この映画にはそこまでプロバガンダは感じませんが・・・ 本当にユダヤ人の怨念は凄まじい。 倍返しどころじゃない! またチラシには全キリスト教関係者必見‼︎と書いてありますが、そこまで宗教的な印象は受けませんでした。彼は自分の信念を貫き通す事が 一番大切だったのでしょう。 戦争で悲しい思いをするのは市井の人々。「この世界の片隅に」の制作者の考え方に近いです。 少しでも戦争につながる可能性を少なくする。 それが今を生きる私達に出来る事ではないでしょうか。 たまには真面目な事を言ってみました。 読んで頂きありがとうございました。
信念の強さが恐ろしい
ヒットラーへの忠誠を拒否したことで反逆罪で逮捕され 最後までその信念を貫いた農夫とその奥さんの実話。『ツリー・オブ・ライフ』と同じ監督の作品で、ツリーが全然理解できなかっただけに今回も大丈夫か?と思いながら鑑賞。照明を一切使わず自然光だけで撮影された映像は陰影もあり、アルプスの風景も美しかったが、3時間の上映時間は長く、獄中と外との夫婦の往復書簡も淡々、愛する奥さんや家族が不幸になっても、自分の信念を貫き通す農夫にイライラ。2007年にローマ・カトリックから殉教者として認められたそうで、信仰者としては立派なのだろうけど、無神論者の自分としては、彼の強さに宗教心の恐ろしさを感じてしまった。
詩的な・・・
伝説の監督、テレンスマリック監督作品。詩的な映像の中で浮かび上がる人間の信念と邪悪さ。画面を彩る光と自然がとても印象的。 悪魔の囁きに身を委ねれば人間は楽に生きられる。正しいと思うことを貫き通す意味は、貫き通した人にしか分からないのかもしれない。 正しいことを貫いた名もなき生涯の積み重ねで、人の世の善悪の区別がついていること。僕たちはこの映画を観てそのことを実感すると思うのだ。
マリックを信じるか。
ともあれ、3時間は長い。2年かけて作り上げたという作品。マリックのワイドレンズを駆使した構図がオーストリーの農村を美しく描き上げる。モノローグとともにモンタージュされる風景情景の編集は、まさにマリックチームの芸風。おだやかに映像でも心象を語っていく。実話をもとにしたという珍しい題材。しかし、ここまで無抵抗に個人の正義を貫くことで、愛する家族を残して逝く決断をするというエモーションに日本の観客は共感できるのだろうか。殉教者的なのだが、宗教ではなく「主人公の信じる正義」へ殉じるのだ。「ハクソー・リッジ」(2016年 メル・ギブソン監督)では、信仰のために殺人をせず、ただ負傷者を救うだけの軍医となる人物が描かれた。そちらの方が<理解>しやすい。
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