「モハメットアリを思いだした。」名もなき生涯 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
モハメットアリを思いだした。
この監督は有名らしいが全く知らなかった。静かに進んでいくスタイルは好きだ。でも、果たして三時間もいるだろうか? カメラワークはこの映画を不思議なくらい過去のオーストリアに戻させてくれるが、映像に目が回ってしまった。そして、コメントできるぐらいの映像に対して知識がなく、美しさだけ堪能した。
でも、私は語学教師なので、このドイツ語と英語の共存に対してコメントを書きたい。監督はアメリカ人らしいが、ほとんどの役者は調べればわかるがドイツ語圏の役者だ。なぜ英語?監督がアメリカ人だから?こんなにドイツやオーストリアの俳優が起用されているのに? ドイツの私の好きな俳優フランツ ロゴスキーまで英語を話している。ナチス政権の台頭の中の苦悩で舞台はオーストリア🇦🇹、それに、ドイツのオーストリア併合の時代。それに、時代を考えてドイツ語で作品を作れなかったものか?映画ではドイツ語の部分だけ字幕が出てないが、この部分は感情的な部分なので何をいっているか、ドイツ語がわからなくてもおおよそ見当がつき、おおきな問題じゃない。字幕がない部分はそのままにして、あとの役者にドイツ語(オーストリア、ドイツのドイツ語)を話させた方が、緊迫して、より真のものとなるから、現実味が増す。
最近、映画を主に英語で作る監督が増えてきているような気がする。これに対するショックはわたしにとって、並大抵ではない。『オーセンティック』(英語のauthentic)日本語で 本物の、正真正銘の、真正の、真のとなっているが、こういう作品を期待している。なぜかというと、映画の世界をもっと現実に近づけて観たいから。それに、あくまでも個人的な見解だが、映画の題まで日本語でなく英語を使っていると、興醒めする。『オーセンティック』(英語のauthentic)のものの中に感じるものを大切にしたいから。
この映画は1939年、オーストリアのST.Radegundというドイツの国境近くにある村で、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに併合された、良心的兵役拒否の実在の農夫フランツ・イェーガーシュテッターの生涯を描く。
ナチスの軍門におちいった教会の指示に同意せず、自分の信念と信仰に生きる。妻や娘への愛情は並大抵ではなく、拷問にも耐え、決して揺るがない。妻たちも村八分に耐え、お互いに神を信じて生きていく姿は素晴らしいが、妻がベルリンの刑務所から戻ってきて、大地を手でむしりとりなから泣き叫ぶシーンは酷いね。夫の揺るがない心情を理解していても、自分が訪問することにより、夫の気持ちが変わるかもしれないなんてちょっとでも思わなかったろうか?
現在では、イェーガーシュテッターは、カトリック教会の殉教者であり、英雄で彼の銅像が建っているかもしれない? しかし、当時は兵役拒否なんて許されなかったんだからねえ。日韓併合の時は朝鮮人に対する兵役はボランティアだったのか?強制だったのか?調べてみればわかるが?
良心的兵役拒否ではモハメットアリ(カシアスクレイ)が有名だ。彼は英雄として扱われている。アリがボクシングのキャリアを犠牲にしてまで貫いた信念で、私のように彼の支持者になった人はおおい。かれはボクサーとしても権利を剥奪されて投獄された。彼は知能指数が低いとされていたが、彼の言葉『ベトコンにうらみはない』は全くその通りだ。なぜ、自分はベトコンと戦わなきゃいけないんだ?この意味はなんなのだ?国の都合主義じゃないのか?それも、黒人の多くが戦場にいくし、金のある(当時白人)若者は兵役を逃れることができる。なんと、不平等な!