「1943年8月9日」名もなき生涯 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
1943年8月9日
実話に基づく映画。
オーストリアの小さな農村での話。
ひとりレジスタンス。
頑固一徹。
常人では真似もできない。
神父は同情しつつも、やめなさいと。
司祭に相談もしてくれる。
司祭もナチスには逆らえないと。
地位ある聖職者よりも彼が敬虔なのはそれでよくわかったのですけど。
かみさんはことあるごとに神父様に相談に行く。
なんだか、寅さんのさくらが御前様に相談に行くみたいな感じだが、重さが全然違う。
だけど、こうしたピュアな抵抗だけが世の中が悪い方に行かないためのブレーキになるんだよという結論を映画は最後に示した。
なるほどとは思う。
インドのガンジーみたいな組織はないので完全にひとりでレジスタンスを貫き通すのだ。
それはね、ロックな生き方なんです。
それは天涯孤独のやくざでもないとやれない。
普通の人はやっちいけないんじゃないか?とおもうんです。
かみさんが村で村八分にされても、ひたすら耐える。未婚の姉、母親も頑張る。小さな3人の娘は無邪気そのもの。とても、かみさんひとりじゃもたない。
不謹慎を承知で言いますが、
その前に「初恋」見たんです。
主人公が窪田正孝に見えたんです。
かみさんが、尾野真千子に見えたんです。
でも、長かったですね。
ほっぺたを何度もつねりました。
いびきをかいたりして、まわりの方に迷惑かけられない。それは私なりの正義です。
1943年当時のドイツは召集礼状に拒否するオーストリア人に対しても人権を尊重する手順を何段階も踏んでいたことが詳細に描かれます。本当か?とは思いましたが、やはり、ゲーテを産んだ国ですので、信用しました。
終戦間際のゴタゴタでは無理でしょう。まだドイツが余裕があった頃なのでしょう。
彼の覚悟と信念をさらに際立たせるものではありましたが、死刑確定の書類が村のかみさんに送られたあと、かみさんがベルリンに行き、刑の執行当日に立ち会う際にも、本人がヒトラー政権に命乞いをすれば、釈放されるチャンスを与えられたのに、頑なに固辞し、かみさんも本人の意思を尊重してしまう。それほどわかりあっている夫婦に脱帽するしかありませんでした。
かみさんに頼まれて同行し、なんとかならないかと、説得した神父さんも最後には脱力してしまうのです。
私はエンドロールが流れている時にも
終戦になったから、刑は中止になるんじゃないかと思って待ちました。
1945年の話かと勘違いしていたためでもあります。
ただ、ちょっと嫌~なシーンが前にありました。村の共同施設の水車小屋があり、小麦を粉にするのですが、水車小屋のおじさんが小麦をおまけして、持ってきた量よりも増やして持たせてあげるのです。かみさんが未亡人になったら、うまいことしょうと思っている雰囲気の男なのです。そんな男が村にはわんさかいたかもしれない。
もし、かみさんが、そんな女だったらと疑ってしまうときりがありません。
わたくしごとではありますが、遺族年金入るからオーケー🆗👌よ
なんて思っていたら・・・・
これはもしかして、ホラー映画かなと思ったのでありました。