劇場公開日 2020年2月28日

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「ライオンの育て方」レ・ミゼラブル まゆさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ライオンの育て方

2020年6月30日
iPhoneアプリから投稿

ヴィクトル・ユゴーの有名過ぎる「レ・ミゼラブル」で有名な、今は犯罪多発地域でスラム化している街が舞台。

その街の警察に異動でやってきた穏やかで人道的なステファンと粗暴な同僚二人とアフリカ系移民が沢山住む荒廃した団地のコミュニティの人々を中心に話は進む。

ドキュメンタリーの様にリアリティもあって、最後まで引き込まれた。

暴言や暴力、粗暴で利己的な思惑が渦巻く大人達。
同僚の二人も警官としての正義やモラルよりも、自らを守る事を選択してしまうが、その中でも、恐怖心や罪悪感等目の奥の心の細かい揺らぎも感じられて俳優さんの演技、心理描写も良かった。

その中で良心的なステファンが傷ついた子供イッサを唯一抱きしめ手当てをする。
スラム街のボスが、交渉してきたステファンに言った「お前を信じたいよ」この言葉の重み。
暴徒化した若者子供達、
イッサのラストシーンの選択は…

移民と貧困、暴力、人格の荒廃、教育、差別、格差、政治、様々な問題が絡み合って、簡単には改善されない問題だけど、
子供はいつでも被害者。
荒れた心を連鎖させても何も救わない救われない。
気づいた者から連鎖を止めていかなければ。
それは、親子の子育てだけでは無く、
他人に向ける些細な善意の行動や言葉がけでも良い、そこに確実に善意の種は撒かれているから。
善意の連鎖が大きくなりますように。

サーカスの親方のライオン愛🦁には笑っちゃった。

エンドロール前に映し出されたビクトル・ユゴーの言葉が響く。

「友よ
よく覚えておきなさい。
世の中には悪い草も悪い人間もいない。
ただ、育てるものが悪いだけだ」

帰り道にミュージカルのレミゼの民衆の歌が脳内リフレイン
生々しくて、ヒリヒリしてて、沢山考えさせてくれる、とても良い映画でした。

まゆさん