「ドキュメンタリーみたいな緊張」レ・ミゼラブル CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーみたいな緊張
パリ凱旋門前の路上でのサッカー観戦、ワールドカップ 優勝に沸く少年たちを含んだ大群衆...という、本来であれば歓喜のシーンに、被さってくる不穏な音楽。タイトルが出る前の、この一連の映像と効果音が、この映画の中身を予想させる、秀逸なオープニング。
そして本編。スラムでの緊張は高まっていき、終盤に爆発する。決していい子たちとは言えない少年少女たちが。それだけにリアリティ。とても褒められたことではないことをきっかけに、悪いことが重なる。というか、子供たちは、大人たちの行動が、すべて自分たち子供の為ではなく、それぞれの大人が自分のことだけを考えての行動であることをちゃんと嗅ぎ分けている。だからこそフラストレーションであり、それは、主人公が必死で事を落ち着かせようとする行動さえも許さない。
「世には、悪い草も悪い人間もいるものではない。ただ、育てる者が悪いばかりだ」というビクトルユーゴーの「レミゼラブル」での一文が、これほど重くのしかかる。
この映画は、観た大統領に「この地区は、何とかしないといけないな」と重い腰を上げさせるという "大成功" を収めたそうだが、これは果たして、この地域だけの話なのだろうか。
俺は、果たして、子供たちの将来を考えて行動しているだろうか。綺麗事を言いつつ、実は自分のことだけ考えていないか。
いや重たい映画だった。でも、とても面白い映画ですよ。おすすめします。
さらに、いかに自分が、「何かが起きて当たり前」という映画的感覚に、どっぷり浸かっているかも痛感させてくれる映画でした。
いつもありがとうございます。
本当に重たい映画でしたね。
大統領を動かしたんですか?
それは、この映画のチカラがそれだけの影響力を社会に
与えたのですね。
あまりに迫ってきて興奮してしはいましたが、
自分を振り返れば、まったく何も行動出来てません。