「懸命にもがけばもがくほど大きな穴の中に沈んでいく」家族を想うとき shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
懸命にもがけばもがくほど大きな穴の中に沈んでいく
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映画「家族を想うとき」(ケン・ローチ監督)から。
原題「Sorry We Missed You」は、字幕では「不在連絡票」と訳され
邦題「家族を想うとき」となかなかうまくつながらなかったが、
日本「万引き家族」「韓国「パラサイト 半地下の家族」に近い感覚を
持ちながら、観終わった。
共通しているのは、どの国の家族も「ハッピーエンド」ではなく、
「辛い、切ない」想いが最後まで残った。
「どこかで思い切らなきゃ一生賃貸暮らしだ」と、家族のために
フランチャイズの宅配ドライバーとして独立したものの、
「こんなに苦労するとはな」「何もかもうまくいかない」と嘆く父。
息子の非行で学校に呼び出されたが、夫は仕事だとわかっていても、
「なぜ父親は来ない?と怒られた」とイライラし、
「面談にも来ないで今さら何言うのよ? もう、うんざり」と、
仲の良かったはずの夫へ、怒りをぶつけてしまう妻は、
「怖い夢を見るの。砂の中へ沈んでいって、子供たちが棒で引っ張る。
でも、懸命にもがけばもがくほど大きな穴の中に沈んでいく」と
夫に打ち明けるシーンは、胸が締め付けらてしまった。
家族が家族のことを想ってしたことが裏目に出てしまう時の気持ちは、
言葉に言い表せないくらい辛い。
それでも、我慢して家族の幸せのために・・と行動するが、
それでも結果が出ない・・答えが見つからないまま、作品が終わる。
どの作品も、その後の家族が気になってしまうなぁ。
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