「家族を守りたい気持ちは一緒なのに」家族を想うとき chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
家族を守りたい気持ちは一緒なのに
キネ旬ベストテンの発表など昨年の映画を振り返る記事に、外国語映画ではこの作品がよく語られています 私もようやく観ることができました 史上空前の好況と言われる一方で、早期退職、年金支給年齢引上げ、就職超氷河期世代の非正規雇用、老後資金2000万、など生活不安が高まる中年期、フランチャイズとか脱サラ、独立という言葉に希望を持つ人々が日本にも多いのでしょう 今よりもわずかばかりの幸せ、安定を求めて「独立」をした
ことで、家族全体で支えあっていくも疲弊し、悲しい事件になっていった話の象徴が、昨年来の大手コンビニチェーン、最近は弁当屋チェーンをめぐる問題なのでしょう そういった我が国の現状をみているから余計に、家族の幸せのためにさらにもがき苦しみ、搾取され、そして捨てられていく姿、ラストでは希望を感じることもなく終わったのは、残念だけど現実の姿でもあります 是枝監督との対談や比較される記事もたくさん見られましたが、どうしても抜けられない貧困から、抜け出すことが不可能な社会になってしまっていることを感じずにはいられません 「世間(よのなか)を憂しとやさしと思えども、飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」、という山上憶良(貧窮問答歌)の歌を思い出します
皆さんがおっしゃる通り、この夫は家族に対する思いが強く、一生懸命生活をよくしたい、そのために働いているいいお父さんです こんな普通のお父さんが、普通の家族が堕ちていく姿は決して少なくはなくなっているのが悲しいです
(2月6日 京都みなみ会館にて鑑賞)*30年ぶりに京都みなみ会館に行きました シネコンばかりの中、名画座・ミニシアターを守っていて嬉しかったです