「「家族を想う」が故に…。」家族を想うとき yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族を想う」が故に…。
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医療の無償化など福祉国家とも形容されるイギリスだけど、本作や前作『私はダニエル・ブレイク』が示すように、制度的には崩壊の危機に立たされています。
イギリスの社会制度の危機に深く関わっているのは、新自由主義的な経済構造の浸透です。劇中でその影は、主人公一家を苦境に追いやった米国発のサブプライムローン問題(作中では示唆されている程度だったけれども)、そして名ばかり個人事業主として奴隷的な労働に従事させられる状況として現れています。
新自由主義的経済は地球規模で進行しているため、日本でも同様の状況が生じています。結末の主人公の行動に胸塞がれる思いをしつつも、仕方ないことなんだ、と自分に言い聞かせた人も多いでしょう。
あの非情な上司も、もしかすると家に帰ると家族を思いやる一人の父親かも知れない、仕事を失わないため職務を懸命に果たしているだけなのかも知れない、と思うと、一層やるせなさが募ります。
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