「大逆転なんて起きない現実の映画」家族を想うとき なつめさんの映画レビュー(感想・評価)
大逆転なんて起きない現実の映画
2020年一本目
前情報一切なし邦題見て決定。
温かなヒューマンものだろうと勝手に思っていたが、そんな生温いものではなかった。
過酷で惨めで大逆転なんて起きない現実の映画だった。
特にラストシーン。これが終わりなんて信じたくなかった。がつんと殴られたような消化しきれない想いが残る。
イギリスもこんなに酷いのかと驚いたが日本も同じである。
昔は学がなくとも腕っ節が強く真面目に一生懸命働けばそれなりの生活が出来ていたはずだ。
そんな時代は終わり、頭を使えないものはただ消費されていく。
父と息子が言い争うシーンはリアルですすり泣きがあちこちから。
親世代ならやりきれない父の気持ちが痛いほど分かるのだろう。
この映画に救いを見出すとしたら、どんなに最悪な状況でも家族が側にいること。
まだこの家族は壊れていない。
観賞後に思うことは原題が秀逸。
これに込められたメッセージは邦題では伝わらない。
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