「携帯を置け」家族を想うとき Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
携帯を置け
農耕を覚えた人類が逆に穀物のために人間性が虐げられたというのは、サピエンス全史にあった解釈であったが、この映画でのスマホの描かれ方はそれに似ている。技術の進歩はそれ自体便利ではあるが、その便利な世の中での競争の意味するところを予見し得ずに、いつのまにかそうなってしまっている環境に隷属する。UberがTaxiを駆逐し、フランチャイズが小売店を駆逐する。規制するしかないのかと思わせるケンローチの手腕。
雇用主のクソ資本論、父と息子の葛藤、娘の意外な行動、妻が吠える展開など見応えのあるシーンが数多く盛り込まれ、行き場のない絶望感が重くのしかかる。最後は政治的な決裁しかない。しかし、政治自体も何かが駆逐されてはいないか?
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