劇場公開日 2019年12月13日

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「シビアで、救いのない物語」家族を想うとき みんもさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シビアで、救いのない物語

2019年12月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

家族のためにマイホームを持つことを夢みる父親は、配達員としてフランチャイズ契約を結び、1日14時間労働を週6日続けている。それを支える母親は、介護士として朝から晩まで”お客様”に尽くし、気持ちが休まる暇もない。家族を想った選択が、逆に家族の時間を奪っていく。
格差社会、ギグワーカー、ゼロ時間契約、ワーキングプア…ここに労働者階級という独特の社会構造が絡む現代英国を、映画はシビアに切り取っていく。父親も母親も決して悪い人間ではない。親に反抗する息子も本当に家族が憎いわけではない。ただ、日々の生活に精一杯で、表面張力で保たれている水面は、ほんの少しの刺激でコップの縁から溢れてしまう。最後まで救いのない物語。でも日本も人ごとではない。

みんも