「秘めた想い」マティアス&マキシム 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
秘めた想い
劇中を通してマキシムの秘めた想いが曝け出されるのは物語も後半のキッチンでの場面、しかも受け身な態度が何とも言えないもどかしさを感じるし、彼の気持ちに共感しながら観ていると込み上げてくる感情が、、、。
マティアス自身が気持ちの変化に戸惑い葛藤している姿を中心に、台詞での説明や劇的に感動を煽る演出も殆ど見当たらない、清々しい青春映画として。
明らかに皆とは違う家庭環境があり、一人旅立つ理由、母親との険悪な関係性、どこか寂しげな表情を浮かべながらも自分の人生を進ませる方向へ、マティアスの母親がマキシムを見つめる優しい目線、全てを感じ取ったかのようなフランクの行動、顔に痣がある理由。
破滅的で暗くて可愛そうに思える映画にでもなりそうなのに、仲間たちの明るさと愛らしく感じるグザヴィエが演じるマキシムのキャラ、互いの秘めた想いが秘めたまま綺麗な思い出として残るような、知らなかった自分の気持ち、隠したままの気持ち、色々な感情全てが自分な訳でどの自分を曝け出し生きて行くのか。
ラストは清々しく、残された想いを大切に、マキシムは戻らない気がする、、、最初から彼の表情に注視しながら本作を鑑賞しなければ、グザヴィエの手腕、衰えず!
2020/10/14 アップリンク吉祥寺にて。
二度目の鑑賞。
グザヴィエにあるイメージのまま、最初からマキシムはソッチの人かと勝手に思いながら観ていたが、マットに対して"理解したい"と訴える姿や常に受身な態度、分かりやすいマットの反面、マキシムの気持ちが難しく思え、最後まで"はぐらかす"ような態度のマキシムを理解したくて堪らない鑑賞中。
前作にハマれず今思うと「たかが世界の終わり」から下降気味に思われたグザヴィエと勝手に、本作で衰えない才能を輝かせた彼の役者としての存在感も含めた、これからも期待大な年下の映画監督って稀さ。