「イケてないドランの新境地」マティアス&マキシム たぴおかたぴおさんの映画レビュー(感想・評価)
イケてないドランの新境地
イケてないドラン。
身なりもヘアも態度もだらしない。
顔に赤痣をつくっている。
体つきも顔も少したるんだ感じ。
家庭は関係性も家計も破綻している。
今回のドランは自分から洗練さを剥ぎ取っている。
自虐的に。
片や相手の男は対照的に洗練されている。
リッチで社会的評価も高い。
(ものすごくウジウジしてるけど)
思春期のヒリヒリした切実感と高揚感が売り物だったドランも、既に31歳。
作風の経年変化も注目していたが、この「かっこ悪さ」を打ち出すあたり、そして母親との確執もマザコンからの脱却をしたように見えるあたりも、オトナというか妥協というか、ある意味彼個人の成長なのかもしれない。
それだけに、反面切れ味がなくなったような気もする。
それでも終盤の見せどころでは、それまでのやや冗長な流れが長い前フリだったことを悟らせ、一気に開花させる展開にどぎまぎさせてくれるのはさすがだ。
ケベック製なのにそんな調和を微塵も感じさせない、ドラン製オリジナル。
かっこわるくてもいい。
ただ、まだまだセクシーにトンガっていてほしい。
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