「ドラン監督の創る世界感に一目ぼれ」マティアス&マキシム スクラさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラン監督の創る世界感に一目ぼれ
映画の一場面を取るために愛の無いキスをしただけなのに、そこから恋心が芽生えてしまう。これだけ読むと、良くある恋愛モノの始まりみたいだけど、マティアスとマキシムは同性。じゃあ、この映画はLGBTの恋愛の苦悩を中心に描いているのかと言うと、そうではない。LGBTをテーマにしているような雰囲気はあまりなく、好きになってはいけない人を好きになってしまった二人の純粋な恋愛物語が描かれている。
愛してはいけない人を好きになってしまった葛藤、それでも気持ちを抑えきれない衝動、マキシムの感情が叙情的な描写でスクリーンを通してヒシヒシと伝わってくる。
結局、告白の返事を直接聞くことはできなかったけど、最後に全てが分かる。それが直接の返事よりもマティアスの気持ちを如実に表していて切なくなる。成就しなかった、甘い切ない初恋物語を観たような気分。
今回、初めてドラン監督作を観たけど、監督の作り出す世界観にどっぷりはまってしまった。
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