「中盤まではサイコー!しかし後半は…う〜ん…」パラサイト 半地下の家族 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
中盤まではサイコー!しかし後半は…う〜ん…
韓国の低所得者住居「半地下」に暮らす一家が、ある富裕層の家族の懐に入っていく様子を描いたブラック・コメディ。
監督/脚本は『殺人の追憶』『グエムル』などの、韓国映画界が誇る天才ポン・ジュノ。本作でオスカーを獲得。
主人公である半地下一家の主人キム・ギテクを『殺人の追憶』『グエムル』など、ポン・ジュノ監督作品の常連であるソン・ガンホが演じている。
ギテクの息子ギウの友人ミニョン役で、『ビューティー・インサイド』『ミッドナイト・ランナー』のパク・ソジュンが特別出演している。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…作品賞、脚本賞、国際長編映画賞、監督賞の四冠を達成‼️❗️
非英語作品が作品賞を受賞するのは史上初の快挙である。
第77回 ゴールデン・グローブ賞…外国語映画賞!
第72回 カンヌ国際映画祭…最高賞であるパルム・ドールを受賞!
第45回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…作品賞を受賞!
第73回 英国アカデミー賞…外国語映画賞、オリジナル脚本賞の二冠を達成❗️
2019年も数々の名作が生まれましたが、最終的にこの年の映画界の話題を全て掻っ攫っていった超話題作。
鑑賞する予定はありませんでしたが、ここまで話題になったのであれば観に行かざるを得ない!ということで映画館へ。
日曜日だったとはいえ上映から1ヶ月以上経っており、さらにレイトショーだったにも拘らず、多くのお客さんが足を運んでいたことからも、この作品の影響の大きさが窺えました。
作品の序盤は、貧乏ながらもハイスペックな一家が、裕福な家族にあの手この手でアプローチを仕掛け、家庭教師や使用人としてどんどん取り入っていく様子を描いたコメディ映画。
書類を偽造したり、詐欺師の様なトーク術で奥さんを騙していく様子は犯罪映画の様なスリルがあり、そのうえ馬鹿馬鹿しい描写も多く笑える為、娯楽作として楽しめます。
コメディとしての勢いがあり、笑える要素も多い楽しい映画だったのですが、中盤になると作品の表情がガラッ!と変わります。
とある嵐の夜。金持ち家族がいない間に豪邸の中でドンチャン騒ぎしていると、突然インターホンが…
玄関には策略により首にさせたはずの家政婦が、ずぶ濡れで立っている…
彼女は家の中に忘れ物をしたので取らせて欲しいと頼み込む…
この中盤の展開が素晴らしい。直前までドリフのコントの様なコメディを展開していたのに、突然ずぶ濡れの元家政婦ムングァンという異物が映画に侵入することによって作風が一転してホラーに変わります。
このムングァンというキャラクターが本当に良い味を出している!ずぶ濡れの雨がっぱを来た普通のおばちゃんなんだけど、明らかにおかしい。普通じゃない。
対応している半地下家族の妻チュンスクには、彼女を追い出したという負い目があるからピーンと緊張の糸が張る。
そして、家の中に入ってきたムングァンが何をするかというと、壁と棚の間で奇天烈なポーズをとっている。
この辺りになると、観客としては今この展開がコメディなのかホラーなのか訳が分からなくなってきて、頭が混乱してくる。
しかし、何かとんでもないことが起きていることはわかるので画面から目を離せなくなる。
そして、この後の展開…タイトルのパラサイトとは半地下一家のことではなかった、ということが明かされるところで映画の盛り上がりは最高潮。
息もつかせぬ急展開&カオスな展開でグイグイ映画に引き込んでくれる!
うわー!なんだこの映画!凄いぞ!と思っていたんですが…
正直ここがこの映画のピーク。ここからさらに映画はその表情を変え、今度は社会派サスペンスへと展開していくわけなんですが、どうもこの後半がイマイチだと思うんですよねー。
格差社会や、上流階級の人間の持つ持たざる者への無意識の差別意識。
決して抜け出すことの出来ない負のスパイラルというこの映画のテーマ的にはこの後半こそが一番大事なのだとは思うのですが、映画的な面白さでいうと前半から中盤にかけてのコメディ&ホラーのカオスな展開が圧倒的に優っていると思います。
中盤までは話が進むにつれドンドン予測不能な展開になり面白さが加速していただけに、「え、後半こんなにシリアスになるの?」と拍子抜けしてしまったというのが正直な感想。
ソン・ガンホをはじめとして俳優陣のレベルは本当に高い。平場とコメディ場面、サスペンス場面での演技の切り替えが見事。
また、現実に確かに存在する格差社会というテーマはやはり強烈。目を覆い、耳を塞ぎたくなる様な展開があり心がしんどかった…
後半も序盤〜中盤の様なテイストでテーマを描いてくれていれば個人的にはもっと評価が上がったと思います。
重いテーマを描きながらも、しっかりと面白いエンタメ映画でもあります。
p.s.
韓国映画を持ち出して、邦画がどうのこうのというのもお門違いだとは思いますが、やはり一言言いたくなります。
隣国がこれほど立派な作品を作り、世界的にも評価を受けているのに、我が国の映画は…。
正直、役者のレベルもまるで違う。
勿論日本にも素晴らしい映画人はいますが、そういった人たちに注目が集まらず、あまりにレベルの低い作品を濫造している現状はやはりヤバいのではないでしょうか?
韓国映画界の盛り上がりが、良い意味で日本映画界に刺激を与えてくれることを願うばかりです🙏
たなかなかなかさん コメントありがとうございますm(__)m。寓話ですか…そんなふうに捉えられたらいいんですけど、…。もう 諦め(笑)ます。いつか わかる日が来るかも?(笑)
たなかなかなかさん 共感をありがとうございますm(__)m。
私も 最初の一回目は 途中まで 笑って観てましたが…後半の展開を観た後は、二回目は最初から笑えませんでした。これが、優れたエンタメ映画というのですか…それを理解するのは 私には中々ハードルが高いようです😨元々 韓国ドラマとは 相性が合わないと思っていたので…「冬ソナ」「天国への階段」なども観てましたが、イマイチ楽しめなかったです。両親は韓国の歴史ドラマにハマっていましたが、私はダメでした😅
けれど、ポン・ジュノ監督は 人間性や映画への取り組み方など とても好感を持っています。なので、余計に自分が残念です…(笑)