「貧乏人は臭いでわかりまするぞ。 中盤まではサイコー!だが後半は…う〜ん…。」パラサイト 半地下の家族 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
貧乏人は臭いでわかりまするぞ。 中盤まではサイコー!だが後半は…う〜ん…。
韓国の低所得者住居"半地下“に暮らす一家が、ある富裕層の家族に寄生していく様とその顛末を描いたブラック・コメディ&サスペンス。
監督/脚本は『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』の、名匠ポン・ジュノ。本作でオスカーを獲得した。
半地下一家の家長、キム・ギテクを演じるのは『殺人の追憶』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』の、名優ソン・ガンホ。
ギテクの息子、キム・ギウを演じるのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』『The Witch/魔女』のチェ・ウシク。ウシクは本作のエンディング曲も担当している。
ギウの妹、キム・ギジョンを演じるのは『ベテラン』やテレビドラマ『シンデレラと4人の騎士〈ナイト〉』のパク・ソダム。
ギウの友人、ミニョクを演じるのは『ビューティー・インサイド』『ミッドナイト・ランナー』のパク・ソジュン。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…脚本賞/監督賞/国際長編映画賞/作品賞!✨✨✨
第91回 ナショナル・ボード・オブ・レビュー…外国語映画賞!
第77回 ゴールデン・グローブ賞…外国語映画賞!
第45回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…作品賞!
第35回 インディペンデント・スピリット賞…外国語映画賞!
第15回 オースティン映画批評家協会賞…作品賞/外国語映画賞!✨
第73回 英国アカデミー賞…外国語映画賞/オリジナル脚本賞!✨
第72回 カンヌ国際映画祭…パルム・ドール!
第45回 セザール賞…外国映画賞!
第14回 アジア映画大賞…作品賞!
第44回 日本アカデミー賞…最優秀外国作品賞!
第63回 ブルーリボン賞…外国映画賞!
2019年も数々の名作が生まれましたが、最終的にこの年の映画界の話題を全て掻っ攫っていったのがこの作品。カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールや非英語作品としては史上初となるアカデミー作品賞を受賞するなど、これ以上無いほどの大絶賛で世界中に受け入れられた超話題作であります。
鑑賞する予定はありませんでしたが、ここまで話題になったのであれば観に行かざるを得ない!ということで映画館へ。日曜日とはいえ上映から1ヶ月以上経っており、さらにレイトショーだったにも拘らず、多くのお客さんが足を運んでいたことからも、この作品の影響の大きさが窺えます。
序盤は貧乏ながらもハイスペックなキム一家が、裕福な家族にあの手この手でアプローチを仕掛け、家庭教師や使用人としてどんどん取り入っていく過程を描くコメディ映画。
書類を偽造したり、詐欺師の様なトーク術で奥さんを騙していく様子は犯罪映画さながらのスリルがあり、笑いとサスペンスの両方で観客を楽しませる隙のないエンタメ作となっています。
エンタメ満載なコメディ映画という顔をしていたこの作品ですが、中盤になるとその表情をガラッ!と変える。
とある嵐の夜。金持ち家族がいない間に豪邸の中でドンチャン騒ぎしていると、突然インターホンが。玄関には放逐したはずの家政婦が、ずぶ濡れで立っている。彼女は家の中に忘れ物をしたので取らせて欲しいと頼み込むのだが…。
この中盤の展開が素晴らしい。直前までドリフのコントの様なコメディを展開していたのに、突然ずぶ濡れの元家政婦ムングァンという異物が映画に侵入することによって作風が一転してホラーに変わります。
このムングァンというキャラクターが本当に良い味を出している!ずぶ濡れの雨がっぱを来た普通のおばちゃんなんだけど、明らかにおかしい。普通じゃない。
対応している半地下家族の妻チュンスクには、彼女を追い出したという負い目があるからピーンと緊張の糸が張る。
そして、いざ家の中に入ってきたムングァンが何をするかというと、なんと壁と棚との間で奇天烈なポーズをとっているのである。
この辺りまで映画が進むと、今観ているものはなんなのか、コメディなのかホラーなのか訳が分からなくなってきて、頭の中は大混乱。分かるのは、今何かとんでもないことが起きているという事だけ。この圧倒的な吸引力によって、もう目はスクリーンに釘付け。次に何が起こるのか、固唾を飲んで見守るのみです。
そして、タイトルにある“パラサイト“とはキム一家のことではなかった、ということが明かされるところで映画の盛り上がりは最高潮。息もつかせぬ&カオスな急展開によりグイグイ映画に引き込まれる!
うわー!なんだこの映画!凄いぞ!✨
とここまでは思っていたのですが…。
正直ここが本作のピーク。ここからさらに映画はその表情を変え、今度は社会派サスペンスへと展開していくわけなんですが、どうもこの後半がイマイチだと思う。
格差社会や、上流階級が持つ持たざる者への無意識の差別心、そして決して抜け出すことの出来ない負のスパイラル。
本作のテーマを考えれば、この後半こそがキモなのだとは思うのですが、映画的な面白さでいうと前半から中盤にかけてのコメディ&ホラーのカオスな展開が圧倒的に優っていると思います。
中盤までは話が進むにつれドンドン予測不能な展開になり面白さが加速していただけに、「え、後半こんなにシリアスになるの…?」としょんぼりしてしまったというのが正直な感想であります。
ドスンと重いパンチを最後に喰らわしてくる、なかなか油断のならない映画。現実に確かに存在する格差社会というテーマはやはり強烈で、暗ーい気分になってしまったのだった。個人的には序盤〜中盤くらいのノリで最後まで行って欲しかった。まぁ面白かったんだけど、大絶賛するには至らずといったところかなぁ。
p.s.
韓国映画を持ち出して、邦画がどうのこうのというのもお門違いだとは思いますが、やはり一言言いたくなります。
隣国がこれほど立派な作品を作り、世界的にも評価を受けているのに、我が国の映画は…。
正直、役者のレベルもまるで違う。ソン・ガンホをはじめとした俳優陣のレベルは本当に高い。平場とコメディ場面、サスペンス場面での演技の切り替えが見事。
勿論日本にも素晴らしい映画人はいますが、そういった人たちに注目が集まらず、あまりにレベルの低い作品を濫造している現状はやはりヤバいのではないでしょうか?
韓国映画界の盛り上がりが、良い意味で日本映画界に刺激を与えてくれることを願うばかりです🙏
たなかなかなかさん コメントありがとうございますm(__)m。寓話ですか…そんなふうに捉えられたらいいんですけど、…。もう 諦め(笑)ます。いつか わかる日が来るかも?(笑)
たなかなかなかさん 共感をありがとうございますm(__)m。
私も 最初の一回目は 途中まで 笑って観てましたが…後半の展開を観た後は、二回目は最初から笑えませんでした。これが、優れたエンタメ映画というのですか…それを理解するのは 私には中々ハードルが高いようです😨元々 韓国ドラマとは 相性が合わないと思っていたので…「冬ソナ」「天国への階段」なども観てましたが、イマイチ楽しめなかったです。両親は韓国の歴史ドラマにハマっていましたが、私はダメでした😅
けれど、ポン・ジュノ監督は 人間性や映画への取り組み方など とても好感を持っています。なので、余計に自分が残念です…(笑)