劇場公開日 2020年1月10日

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「話題の作品をやっと見れました。」パラサイト 半地下の家族 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0話題の作品をやっと見れました。

2020年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「貧富の格差」を面白く見せた、エンターテインメント作品。北朝鮮の攻撃から守るためにシェルター的な目的で作られた「半地下」、ここに貧しい人々が住み着くようになる。韓国には「貧困」を描くのにこんないい材料があるのかと、思わず膝を打つ。映画の前半は貧困家族が富豪家族に取り入る様を、コミカルに描き出す。悲惨な環境に住んではいるが、この一家は皆賢いし特別な家族愛にあふれている。家族が団結して真剣に協力しあうため、詐欺や謀略まがいの方法で豪邸に「寄生」していく姿もなぜか微笑ましくなる。ここでは貧困層の人々の、生活の為なら何でもやるという「したたかさ」と、富裕層の見栄や体面を気にして簡単にだまされる「人の好さ」がとても鮮やかに対比して描かれている。
ここまでの内容だけでも十分面白い作品として成立するが、ポン・ジュノ監督のエンターテインメント性の追求は貪欲だ。象徴的な雷鳴と共に始まる後半は、まさに怒涛の面白さの連続である。「寄生」の状況をどう決着させるか考え抜いた末の結論だとは思う。「貧困」と「富裕」は決定的な対立を迎えてしまう。しかしながら「破滅的」なラストは確かにインパクトはあるが、すべての問題をも吹っ飛ばしてしまうようで、あまり感心できなかった。心に残る作品にするよりもインパクトを与える作品のほうが、受けがいいという計算が働いているのだろう。思惑通り高い評価を獲得した。映画賞に参加している人々も富裕層なので「貧富の格差」の問題は、彼らの潜在的な負い目意識に訴えかけるに違いないと、これも計算の内だろう。
後半のドタバタ劇は趣味に合わないが、作品全体として一番印象に残るのは「家族の結びつき」「家族愛」みたいなものだ。置かれた環境や状況で全く異なる姿を見せるが、誰にとっても家族が大切な存在であることが伝わってくる。「貧富の格差」は映画を面白くさせるための単なる素材に過ぎず、本当は「家族の愛の形」を描きたかったんじゃないかと思う。
近くの映画館が、配給会社の関係か、上映予定がないので、遠征してやっと見ることができました。

ガバチョ