「濁流リスペクト」パラサイト 半地下の家族 grantorinoさんの映画レビュー(感想・評価)
濁流リスペクト
驚くべきはジャンルミックス、ジャンルレスではなく、あまりにも高い水準でミックスしているため、この作品を全ての側面から語ることが可能だという点にあると思う。
個人的には社会的背景から映画を見ることが多いが、それだけでは語り尽くせていないことは分かる。
だが、それ以上の考えが纏まらない。
観賞後、何日もこの映画のことを考え続けている。
登場人物は、誰もがそれなりに誠実でズルくて間抜けで愛おしい。
演出もテンポが良く小気味いい。
何より人間の業への生温かい視線が、作品全体に安定感をもたらしている。
ただ、「リスペクト」だけは違う。
水の流れで貧富の差を見せつけるのは流石の演出だったが、その濁流に逆らっているのか、流れに身を任せてリスペクトしていないかと問われているように感じた。
少なくとも私には多少なりとも身に覚えがあり、身が寒くなった。
今年この映画を観ずして何を観る。
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