「一言では言い表せない、恐ろしく精巧で緻密な作品」パラサイト 半地下の家族 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
一言では言い表せない、恐ろしく精巧で緻密な作品
話題になっていたポン・ジュノ監督の最新作ということで、鑑賞してきました。
なるべくネタバレを避けていたため、予告編と兄妹が家庭教師としてパク家に潜り込むところまでしか知らない状態で鑑賞。
結論。凄まじい映画でした。まるでジェットコースターのようにストーリーがどんどん展開していき、全てのカット・全ての台詞・全ての演技にきちんと意味がある。
緻密に練り上げられた脚本とか、「高低差」を利用した演出とか、考察の余地を残したラストとか。ポン・ジュノ監督の持ち味が存分に活かされた映画になっていたと思います。
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家賃の安い半地下に住んでいるキム一家。全員が無職で、内職で得られる僅かばかりの収入で生活を送っていた。ある日長男のギウが友人からIT社長パク氏の娘(ダヘ)の家庭教師を替わりにやってほしいと依頼を受ける。身分を偽って家庭教師として働き、ギウはパク一家から信頼を得る。そしてギウはダヘの弟であるダソンの美術教師として、有名な美術家だと偽って自分の妹であるギジョンを紹介する。ここから貧乏人のキム一家が金持ちのパク一家にどんどんと寄生(パラサイト)していく・・・。
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ポン・ジュノ監督は「兄妹が家庭教師をするところ以降は話さないで」と語っています。なので、予告編の映像も色んな映画紹介サイトでも、上記のあらすじまでは語っている人が多いです。ただ、これは映画冒頭10分ちょっとの内容ですので、これだけでこの映画の凄まじさを説明することは難しいです。
最初はキム一家がパク一家の中にどんどんと入り込んでいく様子をコメディタッチで描きます。映画館で笑い声が起こるくらい、ところどころに面白い演出が入っていて笑いながら観られます。
ただ、物語中盤のとある時点から映画のテイストが一変します。観た人には分かると思いますが、「インターホンが鳴らされた」ところからです。サスペンスのようなミステリのような、とにかく序盤の展開がどこに行ったのか分からないくらい雰囲気が変わります。まるでジェットコースターのように目まぐるしく進む展開で、全く先が読めず、あっという間に映画が終わります。