「圧倒的構成力とバランス感覚! 爆笑のトマトケッチャップがリアルトマトケチャップに!?」パラサイト 半地下の家族 リオさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的構成力とバランス感覚! 爆笑のトマトケッチャップがリアルトマトケチャップに!?
これはやられた・・・。
エンタメ作品としても充分に楽しめるのに、カンヌ(イニャリトゥ)をも納得させるだけの構成力 !!
映像美、ストーリー展開、笑い、狂気性、社会に対する問題意識・・・。 全てが絶妙かつ天才的バランスで調和・共存している。また、どの国でも、あるいはどの世代でも共感できる手法でそれらが表現されている。
やもすれば、よくあるブラックコメディーの枠に止まりかねないストーリーを、ここまでの絶品料理に仕上げるあたり、ポン・ジュノという監督の手腕には恐れ入った・・・。 ( トッド・フィリップス監督は、「ハングオーバー」で極上の笑いを、「ジョーカー」で狂気性と社会風刺を表現したが、たった1作でそれらを両立しようだなんて!)
個人的には、この「半地下」という感覚(センス)が、この映画を成功させている大きな要因だと思う。「地下家族」ではだめだ。「半地下家族」である必然性があるように感じる。( かろうじて地上がうかがえる半地下のうす汚れた小さな窓と、広々とした庭を一望できる豪邸の巨大なガラス窓、この二つが無意識にも、時に象徴的に対比されて描かれている。)
それから、臭いの表現。映画というコンテンツにおいて、あえて臭いによって格差社会をリアルすぎるぐらいにリアルに表現する・・・。 IT・情報化社会の現代において、表向きをつくろうことなどたやすいことだが、まさに「 半地下 」の「 臭い 」 は消せないということか。
最後に、改めてソン・ガンホという役者の魅力を再認識させられた。
名作、「タクシー運転手」を観てない方は、是非そちらも観るのをお勧めします。
( ソン・ガンホの魅力と、近くて遠い国、韓国に対する理解がより深まります。 )