罪の声のレビュー・感想・評価
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五年後にはこれがリアルな記憶になってそう
いい映画でした。
いや
まさにリアルでした。
映画の内容は皆様が書かれているので
お任せしますが…
犯人グループに声を使われてしまった
子供達の物語…
リアルはどうなんだろうか…
今回は三者三様色々なパターンが
描かれていたが…
刹那すぎて胸がつまります。
リアルではどうなんでしょうか?
皆生きているのでしょうか?
どんな人生を過ごしていますか?
難しいとは思うけど
あの声私です。という本でも出してくれないかな?
…
このままだと私のリアルは
この映画になって記憶されてしまいます。
5年後はまだしも…
10年後にはグリコ森永事件の
声のこはさ…って
普通にこの映画のことをリアルだと
話てしまっているのではないかな?
僕はそれくらい入りこんでしまいました。
おもしろかったです。
子どもたちがかわいそうだった。
野木亜紀子脚本なので見ました。
グリコ・森永事件は、当時3歳位なので覚えてないなぁと思いつつ。
件のテープでトシヤが歌ってる、「もしもーあしたがーはれーえならばー」って歌は、わたしも子供の時歌ってたなーって思った。
あと、うちの職場がチラッと映るのでにやにやした。
充分長い映画やけど、それでもはしょってる感じはする。原作の文庫、分厚いもんなー。
瀬戸大橋の裾でコーヒータイム中の会話に野木風味を感じた。
子どもを駒にした大人の罪を、子どもが背負わされる理不尽に震える。のぞみちやんは身元不明遺体にされたんやろか。
怒りは、どのように対処すべきものなんだろうか。
ロンドンで、事件に関係してる中国人(=本当は日本人のタツオさん)を探すことになった経緯がよくわからんかった。
狐目の男(ハヤシ?)の消息は私には不明やった。
犯人グループの顔ぶれも覚えるまでには至らず(展開早くて)。
でも見応えはあった。
みんなそれぞれの感想があってイイと思う。勝手に期待し過ぎただけ
見終わってモヤモヤ。
小栗旬、星野源、それぞれの視点から描かれてて、表情もよかったし、外国の街並みとかもキレイだったし、イイ映画だったと思う。
ただ...
すごく貧乏で、その日生きるためのお金もないから、仕方なく赤ん坊のために粉ミルクを盗んだ、とかなら分からなくもない、共感出来る。
でも、テープに声を吹き込ませたのは、エゴだと思う。納得行かない、共感出来なかった。
それだけではない!内包されてる「罪と罰」「愛と赦し」というテーマにも刮目。
ホントに、とても胸に刺さりました。
そして、「罪と罰」というものについて、より一層、思い知らされたというか
ずしっと来ましたね。
ほんと・・「鬼滅の刃」もいいですけど
こういう深いテーマの映画は、ほんとに心の中に深く刻まれます。
鬼滅の刃は・・テーマ曲を聞いても、泣けないけど
こっちは、テーマ曲を聴くだけで思い出して泣けてしまう。
大人の残酷さや、身勝手さも含めて「罪と罰」そして、「赦し」までも内包されてる
人生や社会についても丁寧に描かれていく。
約3世代に渡っての壮大な愛のドラマであり、「罪と罰」も含まれてます。
うちの家族も身勝手な家族だったので、そこの部分の赦しというとこまで触れられると
魂まで震えました。
これを単に、「グリコ・森永事件」をモチーフにしただけの映画だと思ったら
まったくもって、そんなもんじゃなかった素晴らしい映画でした!!
野木さんの原作者の意図を最大限取り入れつつも、原作レイプにならず、そこを超える部分に
小栗さん、源ちゃんの二人の俳優といての度量から土居さんの監督としての手腕。
全てが、うまく融合して化学反応を起こしたような作品でした!!
想像力の欠如
原作を読んでいたので母親役が梶芽衣子だった時点で納得。ああ、この母親ならやりかねない、と。
私は声の子どもたちと同世代なので、同じ時代に息を潜めて生きなければいけなかったことに腹立たしい気持ちに。
大人のしょうもない思惑に振り回されて、夢も家族も人生も奪われて、唯一残っている形見の声が闇に落ちる全てのきっかけになる声だなんて悲しすぎる。
罪の意識
阿久津と曽根の頑張りによって徐々に事実が明らかになっていく過程がとても面白くて引き込まれる。
聡一郎に「曽根さんはどういう人生を歩んできたんですか。」と聞かれ曽根が言葉に詰まるシーンがあまりに印象的だった。
妻子と共に幸せに暮らしていますなんて言えるわけがない。こんな形で罪の意識を背負うことになるなんて。本当に辛い感情だったのだろう。星野源の演技が素晴らしく、感情移入してしまうものだった。
一緒に取材をしているような感覚に...
良い映画でしたね〜。キャストの星野源と小栗旬目当てで行ったんですが物語も演技も最高でした。
多分この映画は過去に囚われるなと言いたいんですかね。忘れた方がいいことと忘れてはいけないことはきちんと分けておくべきです。何でもかんでも覚えていればいつか限界がきます。罪の声を忘れているおかげで曽根は順風満帆な人生を送れていますが罪の声を忘れられない状況で生きていた二人は壮絶な人生を送ってきた。何かを忘れられる人生送ってこれるって幸せなんだなと考えさせられました。
また、犯人を追っていくワクワク感も大きかったです。どんどん明らかになっていく事実を見ているだけで見ながら考えることができます。
言うまでもなく小栗旬と星野源の演技は良かったです。演技のおかげでバディ物としても良くできていました。そろそろ小栗旬に日本アカデミー賞あげてくださいよ。銀魂であんなに欲しいって言ってたんだし。
Answer
とても上質なサスペンスを鑑賞しました。142分があっという間に過ぎました。
物語をざっくり言えば地味です。ひたすら事件の手がかりを聞き込んでいるだけなので。でもそれが良いんです。
かなり多くの登場人物が出ますが、聞き込みのテンポがとても良いので、間延びすることなく主人公たちと手がかりを探っていけます。
ストーリーの導入もシンプルで、たまたま見つけたカセットテープとギンガまん犯行声明の時の音声が同じということで、動揺してしまう俊哉。文化部に属しているが、昔の上司の無茶な引きずりによって、ギンガ萬堂事件の調査に巻き込まれる阿久津。この2人のバディが素晴らしくて、凸凹だけど噛み合ってしまう、高架下での自分の心情を話し合う2人のシーンはとても微笑ましいです。
それぞれの絆、それぞれの葛藤、それぞれの深層心理を事細かく見れる素晴らしい作品です。ぜひ劇場へ。
素直におもしろい
小栗旬も星野源ともうまくずーっとこの2人が出続けるシーンばかりなので安定感が素晴らしい。少しずつ解明されていく謎がおもしろくて、きもーち長い気もするけど、興味深く見てられる。
自分が生まれた時代ってこんな時代だったんだなー。
自分の声が事件に使われてるってどんな気分なんだろなー相当嫌ではあるが、子供でなんもわかってなくて、根幹の事件の被害者らしい被害者がいるわけでもなく、ここまで罪の意識わくもんなのかなぁ、、、女の子、この声のせいで台無し!みたいなこと言ってたけど、録音の声が使われようが使われまいが、単に親父と青木のせいだろう。
罪とは
原作読了して翌日に映画を鑑賞
映画ではストーリーを適宜省略し順番も入れ替えて、より分かりやすい構成となっています。
反対に阿久津と曽根が仲を深めていくシーンや生島家族の救いようのないシーンや達雄の告白のシーンは丁寧に描かれており、感情移入しやすい作りとなっています。
ただ個人的には、原作と異なり最初のテープと手帳の発見が、母親の意図したものではなく偶然的なものであり、母親も余命半年程度ということで、母親も達夫側の悪役のように感じました。
「奮い立った」という理解できない大人の考え方で、傷つけられたという子供たちを描きたかったのでしょう。
あとは最後に阿久津がいった「深淵の淵の声をすくいあげる(届ける?)」という言葉が印象に残ってます。
罪の声で聡一郎達が望を思い出す演出も良かったです。
登場人物が今後前を向いて進んでいければいいなと思う作品でした。
35年経った今、この映画がある意味
初日舞台挨拶中継の回に鑑賞してきました。
原作読んでます。本はよく読みますが普段あまり読まないジャンルでかなり苦戦しました。
私は望ちゃん世代なのですが何となくしか覚えていなくて…どこまでが事実でどこからがフィクションなのか気になって調べながら読みました。読後、寄り添えないスッキリしない気持ちから中々抜け出せなかった。
映画鑑賞後も似たような気持ちで、35年経った今この作品がある意味を確認したくてもう一度観ようと思っています。
未解決に終わった事件の犯人を追う事から、その事件に声が使われた三人の子供、その人生に主観が変わっていくのを感じました。
望ちゃんが可哀想すぎて辛い。そして弟の聡一郎君はずっと生きてきた。暗闇の中で。彼を演じた宇野祥平さんにやられました。原作ではここまでの壮絶さを丁寧に描いているんだけど、映画ではそこがなく…でもその様が映し出された瞬間、削られたはずの物語が見えた気がしました。
俊也に、「曽根さんはどんな人生でしたか?」と聞くシーン。「保険証ないので」の言葉…凄く残りました。
俊也が見付けたテープと手帳…その真相を尋ねる終盤のシーンも良かった。あれが、ずっと捨てられずにあったのは、原作の言葉を借りればその罪の判断を俊也に委ねたかったのか…一番寄り添えない部分だけど、自分が傷付くのを恐れながらもそっと問い正すあの台詞はとてつもなく切なかった。星野源さん素晴らしかったです。
阿久津が新聞記者として成長していく様も見所だと思うんだけど、小栗旬さんは出過ぎず、うるさくもならず、しっかりした存在感で原作より魅力的でした。
どの場面だったか阿久津を見ていたら知らないうちに涙が出ていて…そこも確認しよう。
二人のバディ感は暗くなりがちな物語の中の光の一つかなと。終わり方凄く好きです。
塩田武士さんの細やかで計算されたストーリー、野木亜紀子さんの脚本の面白さと仕掛け、見落としがありそうなのでしっかり拾おうと思います。
ギンガのオマケ…テープと一緒に入っていたロケットみたいなの…そんな皮肉も。
一度だけでは満足出来ない凄い映画だと思いました。
事件を追いかける本人と記者が出会うまでがとにかくたるい。事件の概要...
事件を追いかける本人と記者が出会うまでがとにかくたるい。事件の概要がわかるまでに1時間以上…
記者の方は単に語り部であり、最後まで大したドラマがないんだこら、そこは都合よく説明させてさっさと確信へ向かってくれ。(よく小栗旬が受けたな、といった役)
苦痛の1時間を過ぎて、のぞみちゃんの謎あたりから面白くなる。これは原作の力。
しかしその後も脚本も演出もダラダラしてケレン味もなく、お涙頂戴シーンはやたら冗長で、エンタメにも振り切れず、現代へのメッセージもなく、この映画の伝えたかったことは結局なんなの?
脚本が素晴らしい!
原作も読了済。グリコ森永事件を題材に事件の真相に迫る物語。
基本ラインは原作の通りなのだが、あの分量をよく140分ほどの脚本にまとめてくれた。緻密に事件を追いかけていた原作と、人間ドラマに比重を置いた映画という印象。しかもその面白さは損なわれていない。素晴らしい脚本だと思う。
今さら昔の事件をほじくりだして、何の意味がある?という問いかけに対して真摯に向き合っていた阿久津記者が印象的だ。被害者の悲しみをかき回すような報道が少しでも減ってほしいと願う。
そして脅迫に声を使われた子どもたちのその後の人生の違いだ。幸せに過ごしていた曽根が罪の意識を感じてしまうのもわかる。もちろん阿久津が言った通りなんだが、生島姉弟のその後があまりにも壮絶すぎる。最後は少し希望のある終わり方でよかった(原作読んでるくせに)。
星野源だけじゃなくて、松重さんや市川さん、古舘さんといった野木亜紀子組的な人がたくさん出ていたのも印象的だった。いい人選!
よかった
もし自分の声が犯罪に使われていたら、面白いと感じると思うのだけど、深刻に受け止めすぎではないだろうか。弟が悲惨な人生を送っていて気の毒だった。小栗旬が宇崎竜童を詰めるのだけど、無関係なお前に責める資格があるのかと腹が立つ。それは自分が犯人サイドで見ているせいだ。
久々良作でした。
月の初日の料金サービスデイということもあり、
鬼滅はホント圧倒的だけど、こちらも
結構お客さん入っていました。
グリコ森永事件をモチーフにしています。レディージョーカー等よく雑誌記者や新聞記者が
簡単に犯人組織を突き止めるのですが、今回も迷宮入りの超有名事件にもかかわらず
30年余りたった今にスルスルと解明していくのはお約束事です。
私がとか他の大多数の方が思ったであろう、
自分が警察官ならすぐに捕まえれそうな感じなんですが、
犯人グループに警察関係の方がいるのがミソなんですかね。
関西でしかもこれだけの事件を起こせるグループって限られていると思いますし、
警察ならいろんなデータを持っていると思います。犯人グループの運が良かったというのも
ありますが本当に間抜けな捜査だったんですね。一網打尽なんてする必要もなかったのに。
3億円事件も現職白バイ隊員の息子と
そのグループっていわれてますし。タブーのない文春とかの社員を警察に
入れたら未解決事件全部解明できるかもしれません。
原作はミステリー賞で1位になっただけのことはあり素晴らしい読み応えでした。
映画もなるほどと思わせるシーン、泣かせるシーンもあり良作でした。
鬼滅を観らずに社会派のこちらを見て良かったと思いましす。
映画の視点と原作の醍醐味
グリコ森永事件の謎解きに迫る原作を読んで、映画になるのをずっと楽しみにしていました。
結論から言うと、原作の醍醐味を表現するには映画の時間では短すぎたということ。
あらすじを、映像つきで、線的なストーリーとして確認したという印象でした。
映画は、記者と店主、2人の動きに寄り添いながら事件に迫るのですが、迷宮入り事件のはずが実にあっさり真相に辿りついちゃいます。
原作の醍醐味である、事件の背景とともにだんだんと姿を現してくるドロドロした犯人たちの印象が、映画では全く薄まってしまいました。
小栗旬が重すぎず軽すぎずの好演、海外ロケの映像も素敵だっただけに、映画的なバランスの悪さがもったいなかった。
できれば、次は、小栗旬主演の8回くらいの連続ドラマとして、犯人側にもっと重みを持たせたストーリーで見てみたい。
毎週謎解きのヤマ場がある、次週が待ち遠しいドラマになるのでは?
拡げるのか絞り込むのか...。難しい選択。
見に行った理由はいろいろだけど、野木亜希子 脚本の映画を見て見たかったというのが一番大きい。自分の声が自分と無関係と思っていた大事件に使われていたことを知ったテーラーのミステリー、過去の大事件を掘り起こす仕事を突然振られた(報道への熱意を失った)新聞記者を主軸に、叔父の過去、同じ境遇の子供たちのその後などをいつしかバディとなった二人で追うことで、新たな事実が明らかになるとともに、関係者たちの悲しい人生に触れていく。真面目に作っていることは良くわかるが、やはりどうしてももう少し脚本を練りあげればもっと良くなる作品だと思う。
筋としての最大の欠点は、小栗旬自身に動機がないことだ。後半で少しそれらしいセリフを語るが、そもそも企画も降ってきたものだ。なぜそうしたのだろう。梶芽衣子が深くかかわっていることは、年を取った母にも活動家の過去があり父以外との恋があったであろうことが伝わるところは非常に興味深い描写なのだが、ここに対する星野源のリアクションはもっと深堀すべきではなかったか。ラスト、子供を抱きしめるところ、どんな感情なのか、伝わってこない。
そして舞台となった事件への推論についてもあり得る筋ではあるのだが、映画では謎解きに振るのであれば若い層への説明をもう少し丁寧にすべきだと思う。70年安保も絡めるというのであれば尚更だ。橋本じゅん一人ですべてをつなげてしまうのも簡単すぎて驚いた。
事件そのものより影響を受けた家族の群像を描きたかったのだと思う。場面場面は丁寧に描かれているが芯の筋をもっと練りあげて欲しかった。宇野祥平の、篠原ゆき子の熱演もスルーされてしまいそうだ。
化石
二人の子供が不幸になったのは父親がクズだったから。
犯人に事件後に波及して起こる事、全てに責任があるとは思わない。けれど、時効も過ぎて全てを白状した後に逃げるのはないな。やっぱりクズで化石だった。
証拠のテープと手帳を母親がなぜ捨てなかったのか謎だけど、あれがないと話が進まないから仕方ないのか。
それとも母親にとってはあんな物も正義だったのか。
日本では学生運動って遠い昔の話ように感じるけど、デモで捕まって拷問を受けている若者が今現在、隣の国にいるんだよね。正義だけでは大きな力に飲み込まれる。
映画関係ないけど、自由に発言できる今の日本はいい国だと感じました。
某親子に幸あれと切に願う
原作小説は未読。予備知識なし。
文庫は買ってるからこれから読みたい…本当は映画観る前に読もうと思ってました…
全く関わることのない2人が段々と近付いてついに出逢う。そこから物語は加速するー…!かと思ったけどまぁ徐行でした。段々明らかになるのは好きです。ちなみに2人が出逢うまで1時間くらい経ってる。チラッと腕時計見た。
曽根夫婦が話し合って、曽根さんが阿久津さんに協力するようになったところ。その後の車内で考えの変化を問われてましたが、夫婦のシーンとして見たかったなぁ…あっさりだなと感じました。
曽根さんと生島姉弟の境遇に差があり過ぎて、惣一郎さんが曽根さんの境遇聞いたらそのまま死ぬんちゃうかと思ってましたが、最後まで生きてて本当に良かったです…あそこはとても辛い。
子供たち(特に生島姉弟)の人生を狂わせた達雄と話している阿久津さんには「もう殴って!そいつ殴って!」と思ってました。殴ってくれなかったけど。曽根さんが言葉で殴ってくれたかな…
結局達雄は逃げるし、罪の意識があるなら素直に捕まるべきやったなと。結局自己満足で自己陶酔やったんですね。お母さんも同じく。
お母さんが亡くなって病室で曽根奥さんと娘さんがお礼を言ってましたが曽根さんは何も言葉にして…なかった気がするんですが、まぁそうなる。
生島親子への救い…望さんの肉声、あれか…と思うと辛いです。
罪の声ではない、その声が人生を掘り起こす
日本犯罪史上最大の未解決事件と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは、三億円事件。しかし、こちらも。
グリコ森永事件。
モチーフにしたベストセラー小説の映画化。事件名も“グリコ森永事件”から“ギンザ天萬事件”に脚色。
正直言うと三億円事件ほどよく知ってる訳でもなく、メーカーの社長が誘拐されたとか、商品のお菓子に毒が混入されたとか、それくらい。
さらに言うと、原作未読はいつもの事ながら、作品自体も暫くほとんど興味無く。と言うか、グリコ森永事件モチーフの作品である事を知らず、ただの小栗旬と星野源のW主演のサスペンスってぐらいにしか知らなかった。
で、それを知ったら、メッチャ面白そうやん!
そして率直な感想は、非常に面白かった!
中身スカスカの記事を書く芸能部の記者・阿久津は、社会部へ異動。とっくに時効となった35年前の未解決事件“ギンザ天萬事件”の取材をする事に。最初は昔の事件とやる気無かったが、のめり込んでいく。
昭和の謎に挑むミステリー。
父親の後を継ぎ、昔ながらのテーラー店をひっそりと営む曽根。
ある日、父の遺品を見つける。古ぼけたテープ。そこに入っていた声は…。
天萬事件で脅迫に使われた子供の声。
記憶に無いが、自分は事件に関わったのか…? 父は犯人だったのか…?
自分の家族の秘密を調べながら、彼もまた事件の真相に迫っていく。
やはりこういうミステリー物、主人公が二人居て、それぞれのやり方で真相に近付く…というのが面白い。
原作は大長編と聞く。映画を見てれば分かる。
膨大な情報量、エピソード…。
何人もの証言者、浮かび上がる怪しい人物(キツネ目の男)、辿り着いた犯人グループ…。
学生運動などの当時の情勢、警察や裏社会の繋がり。日本を変えようと過激な行動に出てしまった若者たちと、日本社会の暗部。事件の真相は本当にこうだったのでは?…と思わせるほど。
重厚で骨太で、それでいてテンポよくエンタメ性も抜群。
TVドラマ『逃げ恥』の監督×脚本コンビで、これほどのミステリーを魅せられるとは!
小栗旬&星野源も熱演。
ミステリーとして見応えあったが、人間ドラマとしても胸打つものもあった。
よくあるっちゃあよくあるが、事件に人生を奪われた者たち。
本作の場合、知らず知らず事件に関わった、テープの声の子供たち。
曽根と、後二人。
その後の人生は明暗分かれた。これは見てて胸が痛かった。
曽根もあのテープを聞いて、どんなに苦しんだろう。
が、さらにもっともっと苦しんだ者が居た。残酷過ぎる悲劇に見舞われた者も。
犯人グループの犯行理由。金、あの頃の日本という国に一矢報いる…など己の欲。
そんなものの為に彼らの人生は奪われた。
彼らの悲しみ、苦しみを知れ。
彼らの人生を返せ。
奪われた時は取り戻せない。
が、真実を掘り起こす事は出来る。
彼らを苦しめた過去の“声”によって。
悲劇や絶望の中でも決して諦めない。ギンザの看板(=夢)に誓って。
謎から始まり、徐々に紐解かれ、
悲しみ、苦しみ、
35年を経て、真実が明かされ、
時が彼らを優しく包み込む。
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