罪の声のレビュー・感想・評価
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事件をエンタメとして消費してるよね、これ?
「今更、掘り返す意味あります?」と作者にこそ問いたい。
「グリコ・森永事件をモチーフとしたフィクション」という発想は構わない。
しかし、実際に滋賀県警のノンキャリ叩き上げだった本部長が焼身自殺なさった件や実際に使われた声の子供達の存在、グリコ、森永、丸大、ハウス等で苦渋を舐めた社員の方々の事を考えたら「エンタメとして消費してよいのか?」と否定的感情を拭えない。
この映画の影響力は大きいですよ?
フィクションだと断ったって「これが真相に近いんだ」というイメージが刷り込まれちゃった人は少なく無いと思うよ?
それって、ちょっとどうなんだろう・・・。史実の認識を歪めちゃってるよね。
作品内容自体は作者の仮定・憶測の類に過ぎないフィクションなのだから、いっそのこともっともっとフィクションにしてしまって「事実」と切り離してくれたなら、フラットな気持ちで楽しめただろう。
作品テーマも曖昧で、正直なところ前半は苦痛だったが、瀬戸内海をバックに阿久津と曽根が心通わせ、阿久津が「掘り返す意味」に自分なりの回答を掴みかける辺りからは「ジャーナリズムの意義や価値、哲学」にテーマを絞って観ることにしたので、ようやく物語を受け入れられた。
私自身は学生運動世代ではないが、子供の頃〜学生時代にかけて目にした小説や書籍の中には学生運動を実際に経験した方々や、活動家ではなくとも運動が身近であった方々の手になるものも多々あった。
就職後、職場の先輩諸氏には当時ヘルメットとゲバ棒を手にしていたという方々もいたので、直接様々な話を聞いた。
世間一般では安田講堂の全共闘やら浅間山荘の連合赤軍やら極端に偏った過激派の暴力行為ばかりがピックアップされがちだが、それらは運動の本質から大きく乖離していると考える。
だから、本作のような上っ面だけをなぞり、さも闘争を理解したかのような扱いで描かれる事は非常に腹立たしい。
結局、原作者の年齢では所詮グリコ・森永事件も学生運動も、明治維新や信長・秀吉の天下統一と同じくらい「昔の出来事」に過ぎないのだろう・・・。
物語、脚本は面白かったし、監督の演出も良かったと思う。
しかしながら、事実を扱う時の配慮や学生運動への感覚、随所に見られるご都合主義など、様々なノイズが不自然な関西弁と同様に鑑賞を邪魔してくれた。
「各事件の発生日時、犯人による脅迫状・挑戦状、事件報道」が史実通りだった事に、言いようのない不快感を煽られてしまった。この部分も創作にしてくれていたならと、非常に残念だ。
それにしても、古都ヨークの美しさには改めて感慨を覚えた。
知らず知らずのうちに、宇崎竜童出演作品を連続して観てしまったが75歳の年齢をまったく感じさせない程お元気で嬉しい。
港のヨーコや横須賀ストーリーの印象が強烈なのでてっきり神奈川出身だと思い込んでいたが、なんと伏見区出身なのね。京男でありましたか!
まぁ、ともかく「騙し絵の牙」はノイズ無しで楽しみたい。大丈夫だよね?
阿久津英士さんへ質問
2020年キネ旬ベスト7位の作品で、原作は未読です。
公開当時は最近苦手になりつつある邦画に多いサスペンス系の作品だと思い二の足を踏み見逃していたのですが、評判は良く劇場で再公開してくれたので鑑賞しました。
自分が想像していた作品とは違い社会派の人間ドラマだったので面白かったです。実際に起きた事件(グリコ・森永事件)を元にフィクションとして実に見事に練られた作品で、当時の結局この事件は何だったのか?大がかりな愉快犯だったのか?等々の疑問が残る何とも不可解な事件だと思っていましたが、この作品の様な理由付けされると、これが真実だったのかも知れないと納得させられる様な内容でした。
ただこの主人公の阿久津英士(新聞記者)がちょっと胡散臭いほどの良い人ぶりであったのですが、社会部が嫌になり文化部にまわったのは良いが、その仕事ぶりは観もしない作品の論評をそれらしく記事にしているシーンがあり、それってこの作品の全体を通して考えると人格矛盾している気がして少し引っかかった。「この人の仕事に対する矜持って何?」って思ってしまいましたからね。
ここで、この主人公に聞きたいのですが、「矜持って職務によって変わるものなの?」「もし変わるのなら職務に貴賎があるという事を認めているの?」「自分の納得出来ない職務なら仕事に対する矜持なんて捨てても良いの?」って事ですね。
犠牲になった少女が映画雑誌のスクリーンを拾い読みしているシーンなどもわざわざ入れていて「ひょっとすると今の若い少女が同じようにアンタのそのいい加減な記事を熱心に読んでいるかも知れないじゃないか!!」って、つい突っ込みを入れてしまいましたからね。
良い映画だけにこういう細部の人物描写のアンバランスが気になる作品でもありました。更にラストの重要人物に対する台詞も、甥の俊也か少女の弟の聡一郎に言わせた方が説得力があるのにと思いましたよ。
例えば私『Fukushima 50』という映画をまだ観ていません。恐らく感動作なのだろうと思うのですが、個人的に電力会社という組織そのものに引っかかりがあり観ることが出来ない状態なのですが、本作に於いても私は“今のジャーナリズム”や“ジャーナリスト”そのものに不信感を持っている人間なので、作品の良さとは別のところで本作にも少し引っかかりを感じてしまったのです。
それは、去年の『新聞記者』などにも同様の思いがあったのですが、本作の真の主人公(テープの声の子供達)は犯人に利用された側だったので、私には本作の方が納得はし易かったです。
期待を裏切らない作品
原作を読んだ上で鑑賞しました。
原作はやや難しく感じましたが、映像化されたことで内容がわかりやすくなりました。
ミステリーとしても良し、家族愛を描いた映画としても良し。
期待を裏切らない作品でした。人にお勧めしたいです。
徹底された被害者視点の物語
アンナチュラルを手掛けた野木さん脚本とのことで鑑賞。
期待を裏切らない重厚な映画でした。
グリコ森永事件を可能な限りリアリティを損なわずに映像化されていました。
土井監督の落ち着いた演出も見事に嵌まり、大人の鑑賞にも耐えうる完成度です。
そして、やはり野木さんの脚本が素晴らしい。
この方は、被害者を最優先にした脚本を書かれます。
加害者の心情を描けば深み出る昨今の映画とは真逆を行く作風。
ですが、現実でも蔑ろにされる被害者の心情を掘り下げることで、共感できる、他には無い魅力を生み出すことに成功しています。
最優先されるべきは被害者という最近の世相の反映した、今の時代に見るべき映画です。
2020年No.1
大人の勝手で子供の未来を巻き込んでしまう、背負い続けてきた声の罪の重さ、結局他人を巻き込んで変わったことは何かあるのか…。事件の真相を明らかにしていくストーリーの最中でこんなことを考えさせられました。個人的には2020年で一番の映画です。
登場人物が多すぎて覚えるのが大変だったが
スーツ屋さんの伯父さんが主犯格か?と思ったらその通りで、ドン転返しがあるような筋書きではなく、推理は一本道だった。TVを観ている感じがした。
昭和の中之島が懐かしい。プラザ合意前の、1ドル200円くらいだったころの話である。ITも発達しておらず、今も謎が残る事件であった。
細かいが、仕立て屋の母親が亡くなったシーンで、鼻の孔に詰め物がないので違和感があった。せめて布くらいかけてやればいいのに。
それと犯人(主犯格)がしゃべりすぎ。かといって観念したわけでもなく、逮捕請求されるや逃亡先のイギリスからさらに逃亡?それならなんでペラペラしゃべったの?
等多少突っ込みどころはありながらも、全体としては楽しめた。
悪くはないのですが。
映画化を聞き、原作を読んでから鑑賞。原作の持つグリコ森永の声の主が生きていてというプロットはすばらしいですし、期待して鑑賞したせいなのか、もやっとしてしまいました。たぶん映像化する以上、映像だからこそを求めて、もっとサスペンスフルなものを求める自分がいたからなのかもしれません。たしかに悪くないですが、ハードル上げて鑑賞すると、こうなるのでしょうか。たしかにそれぞれのキャラクターは良かったですし、原作を忠実に描いているのですが、もやっとしました。
過ちが作り出す家族の十字架。重すぎる残酷な真実とは。
【賛否両論チェック】
賛:2人の主人公が執念で追い続け、最後に明らかになる衝撃的な真実には、胸が締めつけられるよう。主題歌や超豪華なキャストも魅力的。
否:テーマや結末があまりに重いので、軽い気持ちでは観られない。
かつての未解決事件に挑む記者と、ふとしたきっかけで、自身が事件に引きずり込まれていたことを知らされる男。2人の運命がやがて交錯し、お互いの葛藤の末に、次第に共に事件の真相を明らかにすべく、二人三脚で手がかりを求めて奔走していく姿には、観ていて思わずのめり込んでしまいます。
しかしその先に待っているのは、あまりにも残酷であまりにも衝撃的な、重すぎる真実の連続です。あまり言うとネタバレになってしまうので、詳しくはご覧になっていただきたいのですが、
「私は・・・あなたのようにはならない。」
という言葉に、一縷の希望を見た気がしました。
Uruさんの主題歌「振り子」が醸し出す荘厳な雰囲気や、“超”がつくくらいの豪華なキャストで描かれていく、壮絶ながらも考えさせられる事件の真相を、是非実際にお確かめ下さい。
あの未解決事件が
着眼点がおもしろい。
重大事件に利用された子供たちに焦点を当てて、彼らを通して歴史的未解決事件の全貌に迫る。また同時に新聞記者も改めて事件を検証していき、時効を迎えた事件の真相が徐々に明らかとなる。この物語の構成も素晴らしい。
そんな都合良くいくかい!って思わせないような自然な流れも見事だし、W主演のふたりを囲む俳優陣もまた錚々たるメンバーで映画に厚みをもたらしてくれている。多少、登場人物が多すぎて途中で集中力が切れそうにならないでもないけれども、個性的な役者の演技でそれも緩和される。
あとは、ラストをより衝撃的なものにしても良かったかなとも思う。
力作ですばらしい。
映画も力作で良かった!
小栗旬がいい!彼の作品の中で一番良かったかも。
星野源もいいけど、彼がキツネ目の男に似てて気になってしまいました😅
で、とにかく宇野祥平が圧倒的に凄い演技で震えた!
「グリコ・森永事件」をモチーフとした小説の映画化だけど、社長の誘拐から始まり、菓子に毒物を混入し企業を脅迫、身代金取引の電話では子供の声が使われる。実際は「かい人21面相」と名乗った挑戦状だったな。あの未解決事件を踏襲しながらも、脅迫テープに使用された「子供の声」に焦点を当てた人間ドラマが胸を揺さぶる。
星野源演じた曽根は父の遺品の中にカセットテープを見つけて再生すると、幼いころの自分の声が聞こえてくる。そこから彼の真相を巡る旅が始まる。
小栗旬が扮した新聞記者の阿久津もまた真実を追い、様々な関係者に話しを聞いていく。やがて曽根と出会い、連携していく流れ、ラストの余韻も良かった。「逃げ恥」の野木亜紀子の脚本が緻密だったと思う。
白鳥殺人事件もどうぞ
原作未読です
重いテーマですが
予想以上に良かったです
グリコ森永事件の真相は
こうだったのではという感想も
見かけたので
観賞から2か月経っての投稿です
この作品でグリコ森永事件に
興味を持った方へは
内田康夫さんの浅見光彦シリーズ
「白鳥殺人事件」
をお薦めします
こちらもいいですから
メッセージが分からなかった
土井監督の作品と星野源さんが好きなので鑑賞しました。
原作はまったく読んでいませんが、この作品を通して何を伝えたいのかがわかりませんでした。
またストーリーにも面白さを感じることができませんでした。
原作未読。
こじつけかもしれないが、ちょっと宮部みゆきを想起させるような脇役まで丁寧に目配りして描写した印象。ちょい役でも時々びっくりするような役者さんがキャスティングされていて、かつうまくハマっていた。
小栗旬にはジョニー・デップの轍は踏まないでいて欲しいが…。
宇野祥平さん◎
時間があったから見に行っただけの映画だったのに、大当たりの作品に出会えました。
特に私は、脇を固める役者さん一人ひとりに拍手を送りたいです。
「うわぁ、この方まだお元気でしたか〜。」って、嬉しく思いました。
遠い昔の日本の話ではなく、闘争を体験した方々が全然近くにいてもおかしくない時代の話です。
想像力が膨らむとてもよい作品でした。
自分としては、宇野祥平さんに「天晴れ!」って思いました。
罪は正義にならない
誰かの犠牲を通してこの世界が変わったことは少ない。どれだけつまらなく、息苦しくても忘れちゃいけないことが、自分が将来やりたいことです。それが生きるモチベーションです。人生で様々な試練がやってきます。諦めずに試練に立ち向かうことで、時間はかかるかもしれませんが、結果や結果よりも大切な経験を得られます。
罪を犯すことは誰もが嬉しくなれません。第三者や弱い者が犠牲になります。むしろ相手にとっては思いの都合です。大変な時こそ冷静で諦めず社会を一緒に変えましょう!
恥ずかしいデータを残しては死ねない
事件のスケールとリアリティーがすごい。
主人公2人がミステリーを紐解く。
令和の今に見る価値あり。
良い点
良い題材、役者。
とりあえずイギリス。
悪い点
主人公Bが若干ねちねち。
なぜ消さなかった。
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