劇場公開日 2020年10月30日

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「事件をエンタメとして消費してるよね、これ?」罪の声 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0事件をエンタメとして消費してるよね、これ?

2021年3月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

「今更、掘り返す意味あります?」と作者にこそ問いたい。
「グリコ・森永事件をモチーフとしたフィクション」という発想は構わない。
しかし、実際に滋賀県警のノンキャリ叩き上げだった本部長が焼身自殺なさった件や実際に使われた声の子供達の存在、グリコ、森永、丸大、ハウス等で苦渋を舐めた社員の方々の事を考えたら「エンタメとして消費してよいのか?」と否定的感情を拭えない。

この映画の影響力は大きいですよ?
フィクションだと断ったって「これが真相に近いんだ」というイメージが刷り込まれちゃった人は少なく無いと思うよ?
それって、ちょっとどうなんだろう・・・。史実の認識を歪めちゃってるよね。
作品内容自体は作者の仮定・憶測の類に過ぎないフィクションなのだから、いっそのこともっともっとフィクションにしてしまって「事実」と切り離してくれたなら、フラットな気持ちで楽しめただろう。

作品テーマも曖昧で、正直なところ前半は苦痛だったが、瀬戸内海をバックに阿久津と曽根が心通わせ、阿久津が「掘り返す意味」に自分なりの回答を掴みかける辺りからは「ジャーナリズムの意義や価値、哲学」にテーマを絞って観ることにしたので、ようやく物語を受け入れられた。

私自身は学生運動世代ではないが、子供の頃〜学生時代にかけて目にした小説や書籍の中には学生運動を実際に経験した方々や、活動家ではなくとも運動が身近であった方々の手になるものも多々あった。
就職後、職場の先輩諸氏には当時ヘルメットとゲバ棒を手にしていたという方々もいたので、直接様々な話を聞いた。
世間一般では安田講堂の全共闘やら浅間山荘の連合赤軍やら極端に偏った過激派の暴力行為ばかりがピックアップされがちだが、それらは運動の本質から大きく乖離していると考える。
だから、本作のような上っ面だけをなぞり、さも闘争を理解したかのような扱いで描かれる事は非常に腹立たしい。
結局、原作者の年齢では所詮グリコ・森永事件も学生運動も、明治維新や信長・秀吉の天下統一と同じくらい「昔の出来事」に過ぎないのだろう・・・。

物語、脚本は面白かったし、監督の演出も良かったと思う。
しかしながら、事実を扱う時の配慮や学生運動への感覚、随所に見られるご都合主義など、様々なノイズが不自然な関西弁と同様に鑑賞を邪魔してくれた。
「各事件の発生日時、犯人による脅迫状・挑戦状、事件報道」が史実通りだった事に、言いようのない不快感を煽られてしまった。この部分も創作にしてくれていたならと、非常に残念だ。

それにしても、古都ヨークの美しさには改めて感慨を覚えた。
知らず知らずのうちに、宇崎竜童出演作品を連続して観てしまったが75歳の年齢をまったく感じさせない程お元気で嬉しい。
港のヨーコや横須賀ストーリーの印象が強烈なのでてっきり神奈川出身だと思い込んでいたが、なんと伏見区出身なのね。京男でありましたか!

まぁ、ともかく「騙し絵の牙」はノイズ無しで楽しみたい。大丈夫だよね?

pipi
masamiさんのコメント
2021年3月30日

pi pi様、私の全力馬鹿なレビューにコメントありがとうございます。読み返すと本当に馬鹿。
確かに終盤のあの方の告白は唐突な気がします。馬鹿な女の恨み節かな。あっこれもネタですから。分かると思いますが。

masami
カールⅢ世さんのコメント
2021年3月28日

コメント返信、ありがとうございました。お役に立てて、こちらこそ光栄です。

カールⅢ世
カールⅢ世さんのコメント
2021年3月28日

しらずしらずのうちに~ 電話帳を開いた🎵 元祖ストーカー歌ですね 懐かしい 沖縄ベイブルースも好きです。 宇野祥平が日本アカデミー賞助演男優賞にノミネートされて、野木亜紀子さんが脚本賞で、そのへんはなかなかよかったです。ふくしま50は映画館で観てないです。

カールⅢ世
NOBUさんのコメント
2021年3月28日

おはようございます。
 「騙し絵の牙」は、私はノイズなしに楽しめましたよ!
 2時間、あっと言う間でした・・。
 イロイロと、突っ込みどころはありますが。

NOBU