「ぐんぐん…」罪の声 ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
ぐんぐん…
グリコ森永事件をモチーフにした展開で、冒頭から引き込まれた。父の遺品整理で見つけたカセットテープを聞いたら、幼い自分の声。しかし、それは30年以上前の未解決大事件に使われた犯行テープだった。記憶がないが、一体何のために、誰が自分に吹き込ませたのだろうか。。どうやら姿をくらました曽根の叔父が怪しい。不安な思いを妻や子供にも言えず、小さな手掛かりを元に真相に迫る曽根。一方、大手新聞社で令和という新しい元号を迎える前に未解決事件の特捜チームに入り、真相に迫る阿久津。マスコミの命題である、真実を究明すること、しかし、これは当事者にとって必ずしも正義ではなく、マスコミのエンタメに過ぎない、この一連の二人のやり取りはマスコミだけではなく、今のSNSでの個人攻撃への警鐘とも取れた。また同じく声を犯行に使われた子供である姉弟、姉は殺され、弟は地を這うように、隠れながら生きてきた。弟が過去を語るシーンは胸が詰まる。次第に犯行グループの全貌が明らかになりつつあり、曽根の叔父を追い阿久津はイギリスへ。叔父から全貌を聞くが、当時の権力への抗議、警察への抵抗をしたことで、それが元で人生を狂った人々がいることに罪の意識はないのかと憤る。曽根は母親からテープに吹き込ませたのは母親本人だったことを聞き、子供の、自身のことを犯行に使って罪の意識は思わなかったのかと憤る。この当時の学生運動、権力への抵抗、警察への犯行へ、何故曽根の叔父や母親が傾倒していったのが、表面的にしか描かれておらず、非常に残念だった。子供を犯行に使ってまで、世の中を変えたい、革命したいというのが単なる若気の至りだったのか、浅はかな気がしてならず、原作は違うのだろうか。尺の都合なのか、尻すぼみだった。宇崎や梶芽を起用していて勿体ない。
あの事件をモチーフにしたフィクションですが、作家さんなりの考察を詰め込んだ作品ですね。
確かにケイさんの言うように、現代人から見ればかつての彼らの動機に対する疑問は残ります。
それがどんなものであったのか? 例えば岸信介による日米安保条約、通常不平等条約 このようなものが後に何を引き起こしたのか?
この部分がもう少し具体化されていれば、納得感も強かったと思います。