「あくまでも創作」罪の声 背中にエンジンさんの映画レビュー(感想・評価)
あくまでも創作
原作未読。
他のレビューサイトも含めて、(事件から何年も経ったのに、記者と全くの素人(星野源)が事件の真相に迫る不自然さ、逆に実際に有った本部長の自殺に触れていないとのレビューがあるが、これはあくまでもフィクション。
前者に関しては、何年も経ったからこそ、当時の事を知る人間が口を開いたと言う事と、最初から(自分の伯父が犯人の一人)と分かって行動している点。後者は、それに触れるのは親族等がまだ存命であるから、あえて(物語)から排除したんだろうと思う。自殺者が出たから、故に犯人グループが幕を引いたのではないか?と言う現実への推測とは真逆の暴力団組長を出したのだろうし。
映画としては、仕方無いのかもしれないが関係者への取材シーンが多く、流れていく映像だと時系列としては把握しにくくなるかなぁ。とは思う。そのため、映画内で一番の悲劇として扱われている望が自分の声が事件に使われていた事を知るタイミングがアレは遅すぎない?もっと前に知っている可能性は無かった?と思ってしまう。また、自分の声が事件に使われて(翻訳家の夢は完全に絶たれた)と思い知る。確かに、あの時点で翻訳家にしても他の未来も何も思い描けない状況ではあるが、(声が犯罪に使われた)と言うならば声優への夢とかの方が合っていたんじゃないかなぁと。
本当の事件当初、裏で企業から金を受け取ったんではないか、と言う推測が流れ、少しすると株価操作が目的だったのでは。と言うのも記憶では確かにあった推測の一つだったと思う。
犯人に対して、周囲の人間が納得・同調出来る犯行理由があるワケないのだが(基本、金目当てだから)、中でも星野源演じる曽根(素人なのに事件を追う)の母親と伯父の犯行理由が、金目的ではないのが逆に曽根には悲劇的ではある。母親に関しては同情出来ない部分も無いワケでは無いが、母親としてするだろうか?伯父に至っては時代遅れのマスターベーション。
140分と長いが映画としては良く出来ている。ただ、望の件など再度見ないと確認出来ない事も有るが、如何せん長いので再度見るのは無理だった。