劇場公開日 2020年10月30日

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「懸命にあの頃を思い出して」罪の声 ハバネロ入りカレーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0懸命にあの頃を思い出して

2020年12月1日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

昭和末期の日本社会を震撼させたグリコ森永事件をベースに製られた本作

小栗旬・星野源等のキャスト陣の好演により、事件の全容が再現され、そして、浮かび上がる警察組織やマスコミ、更には日本社会そのものの問題点を指摘し、凄く見応えがあるし、考えさせられる事が沢山あって、個人的には本作の構成等に、何一つ減点ポイントを見つけ出す事はできませんでした

この事件に関わり、人生を狂わされた全ての人々の姿に、終盤には思わず泣き出しそうになりました
子供達を悪用したオトナ達もまた、時代に翻弄されたりして大変つらい人生を送っていた
しかし、だからと言って、このような凶悪な犯罪を犯していいという事にならない

日本社会の問題点を少し浮き彫りにするこの事件とほぼ同時期に発生した3億円事件やその約10年後に発生したオウム真理教の事件等を顧み、自分はどう思っていたのかを思い出していた
グリコ森永事件が発生した頃の私は小学生になったばかりで、まだ社会の右も左も分からず、オトナ達が大騒ぎするのが理解できなかった
90年代に入り、中学生になって、社会のイロハのイのほんの少し分かるようになった頃から、テレビではこの事件の検証番組が盛んに放送されるようになり、ようやくこれが大変な事件である事を自覚しました

しかし、沢山の検証番組が放送されたが、この事件も3億円事件もオウム事件も結局、犯罪者達の異常性ばかり強調されて、彼らがなぜこのような事件を犯すに至ったのか等、日本社会の病気の根っこを掘り出すような議論を見聞きする事はあまりなかったな
オウム事件の時は麻原彰晃達の異常さ、凶暴さ・教団と戦った人々、事件の被害者達のつらさをクローズアップする報道ばかりが目立ち、教団がなぜ若者達を信者にしていき、大きくなっていったのかを見出す議論はあまりなかったし、3億円事件やグリコ森永事件もさほど議論が深まる事はなかっただろうな~
何しろ、程なくして、あのバブルが始まり、世の中は浮かれムードが始まったのだ

だから結局、同じような性格の事件が繰り返し起きてしまう

そんな日本社会の問題提起となるグリコ森永事件が発生して30年余りが過ぎ、忘れ去れつつあったのを本作が、また思い出させてくれた事に、深く感謝を申し上げなければならない!

できれば、本作をもう一度映画館で観たいのだが、仕事が忙しい等の事情もあってそれはもう叶いそうにないが、ブルーレイ等がリリースされたら必ず買って、この事件を忘れてしまわないために何度もチェックしたい、しなければならないと思います!

ハバネロ入りカレー