「もしも明日が・・・」罪の声 アモルフィさんの映画レビュー(感想・評価)
もしも明日が・・・
題材は「毒入り危険食べたら死ぬで」のグリコ森永事件を「ギン萬事件」として描いてるわけですが、この事件、警察と報道を散々コケにしながらも身代金を手に入れることには失敗しているということになってます。
あれだけ派手にやって全く尻尾を掴まれてない犯人が目的を達成してない訳がないという理屈かと思いますが、株で稼いだ説はありました。
うろ覚えですがしばらくの間グリコ株は低迷していたような記憶があります。
また報道といえば、京アニ放火事件で実名報道に拘ったマスコミが、給付金の不正受給や賭け麻雀事件では実名をひた隠すという欺瞞のイメージが強いです。
デスク(古舘寛治)が事件記者の利己的な欺瞞を社会の為とか正義の為とかいって正当化しているのがほとんど政治的な運動家のような身勝手なロジック丸出しですが、それを主人公の阿久津(小栗旬)にぴしゃりとやりこめられます。
阿久津はそんな感じの事件記者に嫌気がさし文化部に異動していましたが、英語が喋れるという理由でギン萬事件の担当にさせられる。
そんな背景の人間じゃなければ曽根俊也(星野源)が心を開いてくれることもなかったのでしょう。
のちのち事件のキーマンである社会主義活動家の達也(宇崎竜童)の言ってることもまさに記者と同じ利己的な正当化そのものの理屈。またもや阿久津に説教されるという構造になってます。
ところが・・・
時代背景や人間関係の細かい演出がよい。
・小栗旬が一瞬、粗品に見えるところがある。
・わらべの歌が懐かしい。
・当時映画雑誌といえばスクリーンとロードショーがあったが、どちらか忘れたが表紙のフィビーケイツ。(そのころの映画雑誌の表紙とえばブルックシールズ、ソフィーマルソー、フィビーケイツのローテーションだった。たまにジャッキーチェン)
・宇野祥平と日野正平が韻を踏んでいる。
など、ちょっと面白いポイントが多い。
よくわからなかったのが、金主に持っていかれて利益が上がらなかったことでヤクザが生島や達夫を責めるところですが、金主やトレーダーと主犯をつないぐのがヤクザの存在理由かと思うのですが、そうでないならヤクザを絡ませた理由がピンとこない。
金融ヤクザという裏を取ってるところもあるし、何より生島は取り分の交渉にいって殺されたんじゃ?