劇場公開日 2020年10月30日

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「あくまでもフィクションでしかないエンタメ作品。真相に迫る映画ではない。」罪の声 beast69さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0あくまでもフィクションでしかないエンタメ作品。真相に迫る映画ではない。

2020年11月21日
PCから投稿

「日本中を震撼させた劇場型犯罪の真相に迫る!」という映画のキャッチコピーに釣られてしまいましたが、実際に観てみると、真相に迫るような作品ではなくて、正直ガッカリしました。
グリコ森永事件(映画内では架空の会社名が使われています)は当時リアルに報道に接していた世代ですが、この映画を観ながら、あの事件を思い出す事はほぼ皆無でした。
メインは犯行に使われた録音テープの声の主だった人や関係者の物語であって、事件はあくまでもエンタメ小説の題材にされている面が大きい。
作者の脳内での作り事が多過ぎて、あの事件を懐かしく知る自分には、余りピンと来ない筋書きのドラマでした。
残念ながら、心に響くような内容では無かったですね。
ただ、美しい映像と音響は素晴らしく、アンビエント映画として観てしまいました。
登場人物に共感する事も少なく、感情移入も特に出来ず、スッキリしない終わり方で締め括られた感があり、作り手側が結局は何を伝えたいのかも微妙で、メッセージ性も薄い感じがしました。
学生運動など時代背景を照らす場面も出てきますが、ここは作品内での重要な要素でありながらも描き方が物足りず、これは原作者が若過ぎるために表現しきれてなかったのでしょう。
キツネ目の男が出てきますが、自分が長くイメージしてた犯人像とは違って、惜しかった。
自分がイメージしていたキツネ目の男は、もっとガッシリとした体格で、もっと不気味な迫力を放つ男。
俳優陣は豪華で演技も良かったし、有能な監督や制作陣によるプロフェッショナルな映像美などは楽しめたのですが、肝心のメインとなるストーリーが個人的にはイマイチ納得いかない点が幾つもあって、あの事件が起こるに至った重要な動機自体が、作者の脳内で薄っぺらな質感のものに成り下がったような、お粗末な印象も受けました。
結局は何を伝えたいかという肝心な所がぼやけた印象で、モヤモヤしたままの気分で消化不良。
それが正直な感想になってしまいます。
観に行く前から良い評価レビューがやたらと多くて、実際に観たら、何だか騙されたような気分にもなりました(苦笑)。
映画はやはり自分の目で観ないと分からないものだ、と改めて感じました。

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beast69