「35年経った今、この映画がある意味」罪の声 piyo piyoさんの映画レビュー(感想・評価)
35年経った今、この映画がある意味
初日舞台挨拶中継の回に鑑賞してきました。
原作読んでます。本はよく読みますが普段あまり読まないジャンルでかなり苦戦しました。
私は望ちゃん世代なのですが何となくしか覚えていなくて…どこまでが事実でどこからがフィクションなのか気になって調べながら読みました。読後、寄り添えないスッキリしない気持ちから中々抜け出せなかった。
映画鑑賞後も似たような気持ちで、35年経った今この作品がある意味を確認したくてもう一度観ようと思っています。
未解決に終わった事件の犯人を追う事から、その事件に声が使われた三人の子供、その人生に主観が変わっていくのを感じました。
望ちゃんが可哀想すぎて辛い。そして弟の聡一郎君はずっと生きてきた。暗闇の中で。彼を演じた宇野祥平さんにやられました。原作ではここまでの壮絶さを丁寧に描いているんだけど、映画ではそこがなく…でもその様が映し出された瞬間、削られたはずの物語が見えた気がしました。
俊也に、「曽根さんはどんな人生でしたか?」と聞くシーン。「保険証ないので」の言葉…凄く残りました。
俊也が見付けたテープと手帳…その真相を尋ねる終盤のシーンも良かった。あれが、ずっと捨てられずにあったのは、原作の言葉を借りればその罪の判断を俊也に委ねたかったのか…一番寄り添えない部分だけど、自分が傷付くのを恐れながらもそっと問い正すあの台詞はとてつもなく切なかった。星野源さん素晴らしかったです。
阿久津が新聞記者として成長していく様も見所だと思うんだけど、小栗旬さんは出過ぎず、うるさくもならず、しっかりした存在感で原作より魅力的でした。
どの場面だったか阿久津を見ていたら知らないうちに涙が出ていて…そこも確認しよう。
二人のバディ感は暗くなりがちな物語の中の光の一つかなと。終わり方凄く好きです。
塩田武士さんの細やかで計算されたストーリー、野木亜紀子さんの脚本の面白さと仕掛け、見落としがありそうなのでしっかり拾おうと思います。
ギンガのオマケ…テープと一緒に入っていたロケットみたいなの…そんな皮肉も。
一度だけでは満足出来ない凄い映画だと思いました。