「なかなか考えさせられるいい映画でした!」罪の声 marimariパパさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか考えさせられるいい映画でした!
未解決事件といえば古くは『三億円事件』をかろうじて覚えていますが、時効寸前にそれを題材にしたドラマ『悪魔のようなあいつ』で記憶しているだけで、もう時効になってから40年以上になるかと思います。まだカッコよかった沢田研二さん、藤竜也さん、妹役の三木聖子さん(すぐいなくなっちゃいましたが)の『まちぶせ』はよかったですね!カバーでヒットした石川ひとみさん(プリンセス・プリンプリン)ですらずいぶん昔ですから。
逆にこの『グリコ森永事件』はまさに劇場型犯罪の初期のものとして鮮明に記憶しています。警察を翻弄させて喜んでいるかのような犯人(グループ?)に対して腹立たしく思いながら、店頭からお菓子類が消えてしまったことにも違和感を感じながら、またマスコミの過剰な報道合戦が印象深い事件でした。
この原作は未読ですが、素晴らしいストーリーですね!この映画を観た人は犯人像や内容が本当のものと勘違いしてしまいそうです。そんな素晴らしいストーリーと主役のおふたりをはじめ脇を固められた数々の役者さんたちの演技が素晴らしく、見事にマッチして2時間半の長尺を全く感じずにのめりこむことができました。
ある意味いいバディとなった阿久津(小栗旬さん)と曽根(星野源さん)が川沿いで話すシーン、なぜ社会部から出たのかは感慨深いものがあります。また「出た!京都人の褒め殺し!」はもしかしてアドリブ?って思うほどあまりにも自然で思わず笑っちゃいました。
また対照的な人生を歩まざるを得なかった生島聡一郎(宇野祥平さん)が曽根(星野さん)に「あなたはどんな人生を送られたのですか?」には曽根本人でなくても言葉に詰まってしまいそうで気持ちが重くなりました。
梶芽衣子さん、市川実日子さん、宇崎竜童さん、松重豊さん、古舘寛治さん、みなさん素晴らしかったです。久しぶりに見た桜木健一さんが『刑事くん』ではなく道場にいた(『柔道一直線』?)のは監督の遊び心でしょうか?!(ってわかる人少ないですよね?)
重いストーリー展開の中、聡一郎が生きる望みを取り戻したこと、母親に再会できたこと(よくある認知症で息子のことが分からなくなってしまっているパターンではなかったこと)少し気持ちが明るくなりましたが望ちゃんには生きていてほしかったですね。
エンディングで阿久津がテーラー曽根にスーツを注文しに来るところもなんだか救われた気持ちになりました。
いい映画です!映画のストーリーが本当のことと勘違いする方がいてもいいので色々な世代の人に観てほしいと思える作品でした。