「実に巧い」あなたの名前を呼べたなら しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
実に巧い
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基本的に会話劇と言っていいのだと思う。
扱うテーマは、インド特有の背景もあって、なかなか簡単ではないのだけれど。
そうした難しい事情も消化しつつ、主人公2人の生まれや家族の背景なども会話の中で説明され。
そして、ラストも絶妙かつ、納得度が高い。
安易ではないし、主人公2人のどちらの想いも汲んだものになっている。
ラブロマンスって、基本的にファンタジーなんだと思うんだけど。
あまりにご都合主義だと観ているほうはシラけてしまう。
本作は、ほんとうに主人公2人の言動を積み重ねて必然でストーリーを運んでいる。
すべて、さりげなくおこなわれているが、なかなか出来ないこと。
ブレスレット、お酒をこぼしたお姉さん、妹のこと、亡き兄のことなど、すべての伏線が意味を持ち、何一つムダがない。
脚本、演出の巧みさに唸る。
ラストのシークエンス、屋上で、かつて2人でいっしょにここに立っていたことを、ヒロインが想うシーンが秀逸。彼女は、あのときと同じ場所に立つ。忘れてはいない。忘れようもない。それは、想いの深さを表している。セリフもないが、静かに、しかし強く胸に訴えかける。
邦題も巧い。
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