「ラストは、幸福感で終わらせてくれる。インド発の作品」あなたの名前を呼べたなら 突貫小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストは、幸福感で終わらせてくれる。インド発の作品
インドの映画と言えば「マダム・イン・ニューヨーク」「めぐり合わせのお弁当」「裁き」を拝見したが、今回の作品はインド色が色濃い作品でした。将来は、中国の人口を超える世界一人口の多い国になると言われている。作品の中では、それでも身分階級が根強い残る点は、映画の中に現れている。
携帯電話の普及率には驚いた。都会の中の街並みと田舎の風景が歴然としている。都会においては、連立する高層ビル群に圧倒されるのにたいし、田舎では貧しい生活でありながら、色彩豊かなサリーを見にまとう女性など、インドの独特文化が描かれている。都会の豪華なマンションに住む旦那様と都会を羨み田舎暮らしの未亡人のメイドの二人が、一つの家で生活すれば、特にメイドが未亡人であり美人で、旦那にあれほどまでに尽くすのであれば、家の中での二人の関係が変化するのは当然なのだが。さらに、メイドが旦那様にお似合いの服を編み。旦那がメイドにミシンを送れば、言わずもがなではないか。そこからの作品の展開は、監督の力量か、展開の速さと言い、二人の立ち塞がる逃れられない身分の壁、想像以上に高いという「苦しみ」とを監督がインドが抱える問題を見事にミキシング出来ている。最後、旦那様の電話にメイドが返答する場面は、思わずやられた。
インド映画は「マダム~」といい、「めぐり合わせ~」といい、空虚感や寂寥感を感じさせながらも、最後は観る者をホッと観方によっては幸福にさせる。心温まる気持ちで終わらせてくれる。しかし、昔のカースト制度ではないが、そこに階級の差があることは忘れてはならない。
後日談として、メイドがファッションデザイナーとして、旦那様が署名な建築家となり、出逢うなんて言う有り得ない続編があったりして。