「鮮やかなロリポップ」HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
鮮やかなロリポップ
いつだって悪い香りは魅力的だし、不相応な報酬には目が眩むもの。
成功の快感は麻薬と同じ。
味わえば味わうほどエスカレートし、足元のぬかるみにも気付かなくなる。
甘く弾ける青春と、スリリングなサスペンスを混ぜ込んだストーリー。
片親を亡くした者同士、家庭が複雑な者同士、今この場所を抜け出したいと暗に思っていう者同士、知らずとも惹かれ合うダニエルとマッケイラ。
行っては欲しくない方向にどんどん足を進めるほどにダニエルはかっこよく色気が出てくるし、彼に惹かれるマッケイラは美しくなる。
纏う雰囲気の変化に胸高鳴りつつ、微かな落胆も同時に感じた。
傍から見ると分かりやすく、しかし本人は浮かれ舞い上がってばかりで気づかないまま、どツボにはまっていく様子が非常に痛い。
序盤の彼の行き場の無さや心許ない態度からのギャップよ。
大切な人に手を出されるとキレて止まらなくなる危ういハンターの、溢れるセクシーさがもう堪らない。
外れた道しか行く所のない、哀れな人。
好きになるのは天真爛漫な女の子で、二人のかわいいいちゃいちゃとお父さん対策の大胆な作戦に笑わされた。
あの場限りの口説き文句が素敵だったな…。
夏が終わってもその言葉をまだ言いたいなら、というもどかしい言い分が好き。
今現在の私にはただ暑いだけの夏も、ダニエルとマッケイラには特別極まりない季節なんだなと伝わってきて、少し羨ましかった。
奔放に思えたマッケイラのある事実に胸打たれる。
本当に好きな人は予感も打算もなく突然現れてしまうもの。
ああーーー切ない、切なすぎて私は吐血しそうだよ。
二度と戻らない今この瞬間、人生を決定的に変えてしまったこの季節を誰もが忘れないだろうし、私もこの先の想像を止められない。
ストロベリー兄妹は薄っすら分かっていたであろう、彼らの夏の終わりの姿にショックを受ける。
ところどころでイメージカットを挟む演出や映像の美しさが光っていた。
台風の訪れのニュースと共に不安感を煽ってくる見せ方が好き。
ストーリーテラーの少年の存在が心地良かった。
海岸で食べていたアサリが美味しそうだった。
ところで、色々な映画を観るうちにアメリカ人の97%くらいがマリファナ経験者の印象になっているんだけど、実際のところどうなんだろう。
自分とは完全に異なる海外の若者文化の描写は観ていて面白いよね。
ありがとうございます!
至る結末は意外なほど切なくて、しかし自業自得感もありありで胸が痛みました。
ですよね!実際もそうなのかわかりませんけど、薬物の扱いが結構フランクだからイメージ付いちゃいますよね笑