「キヨスク(煙草屋兼新聞屋)は、知識と教養の砦」17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
キヨスク(煙草屋兼新聞屋)は、知識と教養の砦
1937年のウィーンにあるキヨスクに田舎の若者が住込みで働きながら、初期の頃は独裁者に対する風刺も出来た世間が、徐々にナチスドイツに侵食されてゆくオーストリアの悲劇を静かに体現。
冒頭の故郷の湖に潜る少年は、まだ幼くて母親の羊水に溺れるかのごとく頼りないが、知見のある父の様な店主と働き、愛を知り裏切られながらも青年となる。
その過程で知り合った、心理学で有名なフロイト教授(ユダヤ人)の交流にも涙。
特に原作にはない幻想的なイメージと落ち着いたトーンの撮影が不思議な余韻醸し出して魅せる。
劇中の舞台となるキヨスク(煙草屋兼新聞屋)は、知識と教養の砦として機能していると思う。
それは、差別と偏見を煽る連中に対する鎧であり、過去のことではなく、現在の世界と日本も例外ではないと感じる。
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