「親子、タクシー、罪を巡る物語」ひとよ ヨモさんの映画レビュー(感想・評価)
親子、タクシー、罪を巡る物語
佐藤健さんが出演されてると聞いて観ました。
冒頭7分で既に辛い。吃音症の長男、小説家志望なもののポルノライター止まりの次男、理容師学校で「人殺しの娘」としていじめを受けて夢を断念した長女。 場面としては多くないものの父親から子供への暴力描写がリアルな上に散々な家庭環境への明確な救済がないので正直胸糞悪かったです。(この監督が暴力描写を売りにしていると知らずに見てしまったので余計に…)
全体的に重暗い雰囲気ながら、唐突にでら↑べっぴんのネタが挟まったり、大樹の嫁が離婚を要求する理由が曖昧だったり、雄二のパソコンが開きっ放しだったり所々の話の進め方に雑さを感じました。
それに加え、堂下さんも「昼間は真面目な運ちゃんだけど元ヤクザで息子も巻き込まれてて…」というチープな設定を貼り付けられたまま特に掘り下げもなく話が進んでいくので、ラストの「親」としての堂下さんと「子」としての雄二が想いをぶつけ合うシーンにも絶妙にカタルシスが生まれず、なんだか残念なクライマックスになってしまったような気がします。
個人的に目当てだった佐藤健さんについては、最初は無精髭とオールバックというやさぐれワイルドなスタイルが正直あまり似合っているとは思えなかったので、彼の魅力が出ているかやや不安だったのですがそこに関しては杞憂でした。
前半の実母の罪をも踏み台にするクズっぷりと妙に冷めた態度が鼻につきますが、後半の喪服でタバコを吹かす姿や「切り捨てた体を装っていながら誰よりも母の遺した言葉に捕らわれていた」ことが判明するシーンの情けない表情に佐藤健らしさやビジュの良さが活かされていて良かったです。
役者さんのファンの方や家族がテーマの重ための話が好きな方は一見してみても良いのではないでしょうか。