「シリーズのファン向けではない作品」ぼくらの7日間戦争 七月大介さんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズのファン向けではない作品
原作の小説を全巻読み、実写映画も観た「僕らシリーズ」ファンです。
映画を観に行ったら予告編で本作の公開予定を知り、まさかの新作に胸を踊らせました。
残念ながら行動範囲内の劇場で公開しなかったため、レンタル開始を待ち遠しにして先程、視聴を終えたばかりです。
OPテーマまでの流れには、アニメ好きの方以外にも好評だった「君の名は」の雰囲気を感じつつ、冒頭にスマホやSNSの情報が出たことにより現代風の「7日間戦争」が始まることを予想させてくれました。
そして、それを裏切ることなくストーリーは進みます。宗田理先生の原作は子供たちが敵として扱う大人たちと戦うのがテーマでしたが、本作にもそれは受け継がれていました。
大人たちにとっては、主人公たちの戦う理由は幼くて馬鹿げていると思われるのでしょうが、そこもまた原作の彼らと比べたらまだ大人しいものです。何せ彼らはかつての学生運動よろしく命懸けで大人に反抗してましたから。
さて、話は戻り今作では現代が舞台ということもあり主人公たちの結束は希薄で、武器と思われたSNSといったツールも、終盤にて彼らを貶める罠として利用されてしまいます。
瓦解仕掛けた彼らを繋ぎ止めたのは、主人公の真っ直ぐな思いが届いたからなのですが、ここをご都合主義と取るかどうかは視聴者次第。少なくとも私は感動しました。
シリーズに関係ある登場キャラクターは宮沢えり演じる中山ひとみ1人だけで、シリーズの主人公的存在ともいえる菊池も相原も出てきません。
シリーズファンとしては微妙かもしれませんが、私はそれなりに楽しめました。
子供向けの復刻版がヒットしたからと言う理由もあるでしょうが、この現代にあえて「7日間戦争」を映像化して頂いたことに感謝したいと思います。