「凄惨!あってはならないこと」ホテル・ムンバイ parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
凄惨!あってはならないこと
ホテル・ムンバイの事件は、覚えていなかった。正式には、ムンバイ同時多発テロと言うらしいが、172~174名の命が奪われたとWikiにあった。実際のタージ・マハルホテルへのテロは、12時間弱で鎮圧されたようだ。
自動小銃の犯人グループに、何も持たずに抗う、もしくは逃げるのは恐怖。まるで虫けらのように倒れていくスタッフや客。自分だったらどうするだろうか?非常口の場所はどこか?犯人グループが何人位で、どこで銃声がしているか?相手に対抗する手段はないか?警察や助けはいつ頃、どこからやってくるか?など、恐怖の張り裂けそうな中、判断ができるだろうかって思った。①犯人に絶対に気づかない隠れ場所を探す。②もうすでに襲撃した部屋に死体も運び込んで、自分は隠れる。もう探した部屋と思ってくれれば、それ以上は探さない。③非常階段が近ければ逃げる。④刃物やトラップで襲撃する。自分ができるとしたらそれ位か。廊下でみつかれば、ほぼ逃げられないように見えた。実話に基づいているっていう話だが、赤ん坊を助けに出ていくなんて危なすぎるって。武器もないのに。
ホテルのスタッフが、お客様は神様と思って、多くが残って力を尽くしたというのは、本当に頭が下がる。と共に、テロに対抗する警察の脆弱さがあまりにも酷い。日本なら機動隊とかが盾を持って対処するだろう。
逃げる時に声や足音が大きかったり、何か戦えるものを持っていなかったりっていうのは演出なのかなと。厨房を通っているのだから刃物でも殴るものでも、それ位は調達できるのでと思った。
このムンバイ同時多発テロは、パキスタンのイスラム過激派の犯行によるものらしい。貧しく明日に希望を持てない若者を使っては、アラーの神のためテロに扇動するのも悪魔のような所業だが、それも現実。暴力の連鎖。そのような過激派を産んだのは、英米のイスラム教徒の国々への搾取、侵略、圧制への支援だろうから、イスラム側だけが全て悪いと言えず複雑。どの国にも戦争で得をする者、権力を掌握する者がいるから、そいつらに対する怒りが湧いてくる。
犯人が襲撃してからは、ずっと緊迫感で支配される映画だった。後味は良くない映画だが、世界では、こんな出来事を起こっているというのを知るために見てよかった。