「荒々しくも危なげな魅力の俳優です」永遠に僕のもの マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
荒々しくも危なげな魅力の俳優です
劇場に貼られていたポスターを見て、なんとな~く面白そうだなぁと思い、観賞しましたw
で、感想はと言うと、なんとなく惜しい。
何かがちょっと足りない感じ。
カルリートスの無自覚な青春の暴走を描いてますが、中盤辺りから間延びした感もあるし。
悪くないんだけどなぁ~
罪悪感の欠けた少年カルリートスは様々な窃盗を平気で重ねるが、同級生のラモンに魅了され、ラモンと一緒に様々な犯罪を重ねていく。
と言うのが簡単なストーリー説明。
実際に起こった事件の犯人の少年をモデルにしているとの事で、当たり前の様に窃盗を重ねて、当たり前の様に殺人を重ねていく。
罪悪感とかが完全に欠落していて“なんで欲しい物を盗んで何が悪いの? なんで人を殺して何が悪いの?”とばかりに罪を重ねていく。
罪悪感の欠落で所謂サイコパスってヤツですが、この罪悪感の無さが淡々と犯罪を犯していって、観る側が“えっ?何でそんな事を平気で出来るの?”と思ってる間にも犯罪をどんどんと犯していく。罪悪感が無いから高揚感や盛り上がりが少なくて、逆にマイナスになってる感が多々ありかなと思うんですよね。
唯一はラモンを手に掛けて、永遠の別れとなった所にカルリートスの苦悩が垣間見えたぐらい。
ただ、ここまで罪悪感が欠落していると、不謹慎ながらにも清清しい感じがして困ったモノですw
背徳の美学と言うか、退廃の美学と言うか、滅びの美学と言うか、なんとなくそれらの言葉が思い浮かんで、青春時代のギリギリの危うさとも思える言葉が浮かぶとなんとなく亡くなったリバー・フェニックスを思い出して、「時計じかけのオレンジ」を思い出した。
それらに共通するのは主人公の美学。
リバー・フェニックスには若くしてこの世を去った為か、儚くも危なげな美しさが感じられたし、「時計じかけのオレンジ」の主人公、アレックスには破壊と暴力の美学があった。
犯罪を美徳とする訳ではないけど、それらを行う者に何かを感じる美意識があるからこそ、牽かれる物がある訳で、「ジョジョ」の第1章にあった“俺たちの出来ない事を平然とやってのける。そこにシビれる。あこがれるゥ!”ってヤツですねw
カルリートスを演じるロレンソ・フェロは作中で言っているが、唇のぷるぷるがチャームポイント。
身体はムキムキでは無いが、何処か幼さを残したムッチリ体型。
顔は女の子を思わす様なビジュアルでフェロモンムンムンの美少年。何処かBLテイストを醸し出してて、悪い事を平気でやるとあれば、そりゃあモテるでしょうw
この作品はもう、カルリートス = ロレンソ・フェロの魅力に尽きる訳な作品なんですが、それが逆にマイナスになった感が否めない。
若くて、危なげな魅力を醸し出すロレンソ・フェロではあるけど、だからと言って、ロレンソにおんぶだっこ過ぎて荷が重すぎる。
冒頭からの他人の家に平然と忍び込んで、金目の物を当たり前の様に盗む。誰も居ない家だと分かるとリビングでレコードを掛けて踊り出す。
バイクを盗んで、家の前に止めて、親には“友達から借りた”と普通に話す。
観ていて“ある意味、スゲエなぁ~”と呆れる様に感心しても、そこからラモンと出会って、ラモンの家族と共に犯罪を重ねていくが、ラモン達も呆れるぐらいに危ない事を危なげにこなしていく。
カルリートスは中性的な魅力から全編に同性愛的な要素が映し出されているけど、ラモンの気を引こうとしているだけで、他に他意がない分、ある意味純粋で、自分の物にならないのなら、ラモンを殺して、永遠に他人の物にならない様にした。
タイトルの「永遠に僕のもの」はいろんな物を盗む事で自分のものにしてきたカルリートスが唯一手に入らなかったラモンへの想いをタイトルにした訳であるが、カルリートスの魅力に依存した形の製作がこのタイトルにある程活かされてないのでは無いかと。
ラモンの自身の身体を売ってでも、成り上がりたいと言う気持ちやラモンの父親のホセがカルリートスが来訪した際にパンツがはみ出た玉袋にはビックリw
映画で玉袋を出して良いのか?wと言う驚きとそれを凝視するカルリートスに同性愛的な雰囲気があったけど、特に無し。
ラモンの母親のアナマリアも犯罪を容認するし、普通にカルリートスを誘惑しようとする。
カルリートス以外の人物や他の描写をもっと掘り下げたら面白くなる事が多々あると思うから、惜しいんですよね。
ただ、これだけの今後も楽しみな俳優なだけにこの作品が振り返った時にターニングポイントになるだけの作品になれば、面白いかなと思います。
全編に過激な要素もあるが、何処か控えめに感もあり、作品の持つ危うさが活かしきれてないのはやっぱり惜しいかな。
かと言って過激になり過ぎるのと「時計じかけのオレンジ」の二番煎じ的になるので、そこの加減が難しいんですが、良い部分が多いだけにもう少し出す所を出して、押さえる所を押さえたらたら、もっとまとまったかなと言うのが個人的な感想です。
今後、ロレンソ・フェロは気になる役者として注目していきたいと思いますので、荒々しくも次代のスターの魅力が気になる方でまだ未観の方は気になるリストに入れてみれば如何でしょうか?
momo8さん
コメントありがとうございます。
「午前十時の映画祭10」で「時計じかけのオレンジ」やってますね~。
時間帯がなかなか合いませんが、今となっては劇場で時計じかけのオレンジはなかなか観賞は難しいので時間を作って観に行きたいです。お教え頂きありがとうございます♪
また、お時間がありましたら、覗きに来て下さいね♪