「Helheimr! の意味なすところ?」トールキン 旅のはじまり Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
Helheimr! の意味なすところ?
この作品は、トールキンの子供時代からオックスフォード大学を経て、将校として第1次大戦の激戦地、通称:"ソンムの戦"に臨むまでの時間軸と、今まさにドイツ同盟軍と戦っている連合軍の将校トールキンが、ざん壕にいる時間軸が交差をする、いわゆる"Nonlinear narrative"と呼ばれる形式でシナリオが進んでいく。そのわかりずらいとされる形式においても、映画に入りやすく、またシナリオを飲み込みやすい作り方がされている。
冒頭、トールキン兄弟の母親が椅子に座ったまま亡くなっているのをトールキン自身が見つける。悲しみも冷めやらぬまま、その後、後継人の神父が裕福な婦人の家を紹介し、そこからキングエドワード校に通うこととなる。ある日、お屋敷のある部屋からピアノの音が聞こえる。誘われるようにいくとそこでは、エディスがいた。初めての出会い。ただし、演奏の邪魔をしたくないのか、彼女に気づかれないように部屋を後にするトールキン。でも2人が親しくなるのは時間の問題となる。
転校してきたばかりのトールキンは、クラスメートとの折り合いが合わないでいたところを1人の学生が近づいてきて、お茶に誘われる。その彼が、後の親友となり、グループ"The Tea Club and Barrovian Society(Aka:The T.C.B.S.)"を彼を含め4人で作ることとなる。
トールキンはオックスフォードの試験に失敗してから、神父からエディスとはもう付き合うことを禁じられたり、スカラーシップが取れないおかげで大学を退校しようとしたりもする。そしてエディスとの関係はどうなってしまうのか? 昔から何故、自分の母親は、あのような亡くなり方をしたのか? そのことを指摘されると怒りを爆発させてしまう。でも殴られた友人は、そのことについて
What you need to understand, Tolkien, you.........
poor lawless orphan, is that we are your brothers.
Through everything.
Yes, absolutely. Exactly.
This is more than just a friendship.
It's an alliance.
An invincible alliance.......... Helheimr!
そのことを戦場で考えているトールキンだったが、戦場の場は過酷で、彼自身も生死の境をさまよっていて、彼の面倒を見て、いつでもそばにいた1等兵のホッジスを他の部隊との連絡を取るために行かせた後は、死を待つだけのものとなっていく。
Stay alive
and come back to me.
その戦場の地こそが、彼の小説の土台になったかのようにホッジスを待つ彼は、兵士の死体が折り重なるようにおびただしく、また血の池地獄を思わせる真っ赤に染まった大きな水たまりに彼は、横たわっていた。そして彼の親友のジェフリーを捜すために今まさに迫撃戦が始まろうとしている戦場に夢遊病者のようにさまようところは,その幻想とも幻影とも呼べる光景を作り出していて、その芸術的な映像は、素晴らしいの一言でしかも誰もいなくなった後の様子は言葉では表現ができないものと言ってよいほどの出来栄えとなっている。
彼、トールキンが描きたい本質は? 冒険活劇、旅、心の勇気、怪物?
Fellowship,
It's about fellowship. "Friendship".
忘れていけないのが、エディスとの関係、愛をとらずに勉学を選んだトールキン。彼が自ら放校をとる道を選び、その時にはエディスがすでに婚約者がいるという現実に自己矛盾のはけ口を見いだせないでいる彼が、フランスに出兵する船に乗ろうとしたとき...........! 冒険活劇において必ず必要なラブロマンスも描かれている。個人的にはお気に入りの場面。
この映画に対する一般の視聴者の支持は高いにもかかわらず、相反するように批評家からは高い支持されていない。そのことは、南半球で最も古いとされる新聞紙、Sydney Morning Heraldの記事から「洗練された時代の一品のように見かけは良く見えるが、小説家についての多くの映画に見られるように結果として、社交辞令的でだらけた説得力のかけらもないものとなっている。」スタンドなどで一般に売られている、例えが悪いかもしれないが日本で言う東スポのような存在か? シカゴの大衆新聞紙、Chicago Sun-Timesによると「フォックス社の映画の中でも最も想像力豊かな文章の感じ方を教えようとするなら、何故もっと“想像力”を映画に注ぎ込まなかったのか?そうするべきだ。」
DocがMartyに言ったラストのシーンで見られる言葉、 "What the hell!?" と同じ様にそのもっともな意見に返答することが出きる。