劇場公開日 2022年2月4日

「鹿の乳を飲め!」鹿の王 ユナと約束の旅 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

鹿の乳を飲め!

2022年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「精霊の守り人」や「獣の奏者」は見たことなかったので本作が上橋菜穂子さん原作のアニメ作品は初めてでした。作りこまれた世界観や設定、人間模様が張り巡らされていて凄かったです。
ここまで細かく練りこまれてるストーリーは圧倒的で昨今のなろう系作品の薄っぺらさを改めて思い出させてくれます。

はてさてアニメーション映画としてはどうだったかといいますと、率直に言って普通の映画でしたね。

ファンタジー物としては過去のジブリ作品のほうがわかりやすいし、感情移入しやすい。
アクションなどの見せ場としては鬼滅の刃や呪術廻戦0のほうが迫力、構図、勢いともに上でしたね。

古き良き時代のアニメ映画って感じで現代のアニメ映画とは思えなかった。
いい意味でも悪い意味でも古臭い感じ

作画はしっかりしてるし表現も丁寧で作品全体はとてもいいと思う。
でも、これといって印象的なシーンや心に残る演出は無かった。
大変申し訳ないけれど記憶にあんまり残らなさそう。

なんだろうか、全てが普通の作品の水準より上のはずなのに特質してる部分がないため他の尖った作品と勝負できる所が無い。
決してつまらなくないし、出来栄えもいいのに地味すぎて特徴がない。

面白かったから見てみて、って言いづらい作品です。
ここを見てとも言いづらいし、ストーリーが壮大で簡単に説明できない。
作品の固有名詞や登場人物が多いため覚えきれないし、結局なにが起きて、どうして解決したのかわかりずらかった。
おそらく映画だけを一回見ただけじゃ全部を理解しきれない。
何回か見て理解しきったからと言って、この映画について話し合える人と出会うのは難しそう。
鬼滅や呪術なら見てる人も多いしストーリーもシンプルで会話の機会もあるだろうけれど、本作品はそうではないので話題性を求めて見るような映画じゃないですね。

声に関しては主要キャラの声を声優ではなく有名俳優にさせていたのでちょっと不安でしたが、全く問題なかったです、ちょっと杏さんブレてた所が少しあったかな?
作画も声も原作も問題ないのに一般人には鑑賞意欲がわく要素が無いて言う。
硬派と言うか大人向けと言うか、Production I.Gが流行りに乗らず真面目に作ったアニメです。

昨今のど派手な色合いとか若者向けのスタイリッシュお洒落アニメに疲れたアニメファンにはいい清涼剤になると思いますので、そんな方におすすめです。

フリント